死亡後の手続きの順番とは?知るべき一覧表と家族を守る終活

大切な人がお亡くなりになった後、ご遺族は数多くの手続きに追われることになります。資産をお持ちの方や多岐にわたる契約を結んでいる方の場合、残されたご家族にかかる負担は計り知れません。

本記事では、死亡後の手続きの順番を時系列で4つの段階に分けて網羅的に解説します。ご家族に負担をかけないための生前対策(死後事務委任契約など)についても詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

死亡後の手続きとは?亡くなった直後から発生する事務手続きの全体像

本章では、死亡後に発生する手続きの基本的な内容や、相続手続きとの違いについて解説します。遺言ではカバーしきれない死後事務の特徴もあわせてご説明します。

残される方への負担を減らすために重要な知識となります。死亡後の手続きの全体像と順番を把握し、生前対策の必要性をしっかりと理解しておきましょう。

死亡後の手続きの基本的な内容(葬儀・解約・届出など)

死亡後の手続き(いわゆる死後事務)とは、亡くなった後に発生する「生活上の契約の清算」や「お弔い」に関する実務全般のことです。人が亡くなると、これまで利用していた行政サービスや民間サービスをすべて終わらせる必要があります。

具体的には以下のような手続きが含まれます。

  • ご遺体の引き取りや葬儀、火葬の手配
  • 役所への死亡届の提出や年金受給の停止手続き
  • 病院や介護施設への未払い金の清算
  • 公共料金やスマートフォンの解約手続き
  • クレジットカードの解約や遺品整理

これらは財産の引き継ぎとは異なる、事務的で物理的な作業です。

相続手続き・遺言執行との違い

死亡後の事務手続きは「相続」や「遺言」とは明確に区別されます。よくある誤解として「遺言書を書けば死後も安心」という考えがありますが、それぞれの役割は以下の通りです。

  • 相続との違い: 相続は不動産や預貯金に関する法的な手続きであり、「財産の権利を誰にどう引き継ぐか」を決定します。一方の死亡後の手続きは「日常生活における契約の片付け」を指します。
  • 遺言書との違い: 遺言で法的な効力が生じるのは、主に「財産の分配」についてのみです。遺言書に「葬儀は家族葬にしてほしい」「携帯電話を解約してほしい」と記載しても法的な拘束力はなく、遺言執行者の業務にも含まれないため注意が必要です。

おひとりさまや家族に負担をかけたくない方に準備が必要な理由

頼れる身寄りがない「おひとりさま」の場合、死後の手続きに関する切実な問題が発生します。誰がアパートを解約し、誰がお墓に入れてくれるのかという問題です。

契約関係が複雑化していることが多いためです。残された配偶者や子どもが、悲しみの中で複雑な手続きに奔走し疲弊してしまう恐れがあります。これを防ぐため、元気なうちから死後事務の生前対策をおこなうことが強く推奨されます。

【一覧表】死亡後の手続きの順番とスケジュール

本章では、死亡後の手続きの順番を時系列で網羅的に把握できるよう、一覧表で解説します。死後の手続きには、法律により期限が厳格に定められているものも数多く存在します。全体像を把握して、正しい順番とスケジュールに沿って計画的に進める必要があります。

順番1:逝去直後~数日以内に行う緊急の手続き

亡くなった直後は時間との戦いになります。まずは法的な死亡の証明と、お弔いの準備を進めます。

手続き名期限提出先・届出窓口
死亡届の提出死亡を知った日から7日以内死亡地・本籍地などの市区町村役場
火葬許可の申請死亡届と同時に提出市区町村役場
ご遺体の搬送・安置逝去後すぐ葬儀社に依頼

順番2:14日以内に行う行政・公的な手続き

葬儀がひと段落したあとも公的な手続きが続きます。これらを怠るとトラブルに発展する恐れがあります。

手続き名期限提出先・届出窓口
年金受給停止の手続き厚生年金:10日以内
国民年金:14日以内
年金事務所または市区町村役場
(※マイナンバー収録済みで死亡届を期限内に提出した場合は省略可)
各種被保険者証・資格確認書の返納国民健康保険等:14日以内
被用者保険:速やかに
市区町村役場(国民健康保険等)
勤務先経由で保険者(被用者保険)へ
世帯主の変更届14日以内(必要な場合のみ)市区町村役場

順番3:葬儀後~速やかに行う解約・清算手続き

公的手続きと並行して、日常利用していたサービスの解約や清算を進めます。明確な期限はありませんが、放置すると費用が発生し続けるため注意が必要です。

  • 病院・介護施設の未払い金清算
  • 公共料金(電気・ガス・水道)の解約
  • 通信契約(スマートフォン・インターネット)の解約
  • クレジットカードの解約
  • 賃貸物件の退去・明け渡し

第1段階:逝去直後の緊急対応と葬儀・供養の手続き

ここからは、死亡後の手続きの順番に沿って、各段階の詳細を解説します。

大切なご家族が亡くなられた直後は深い悲しみの中で冷静な判断が難しくなるものですが、すぐに着手しなければならない手続きが数多くあります。

医師からの死亡診断書受領とご遺体の搬送

病院や介護施設で亡くなられた場合、医師から死亡診断書を受領します(医師が診療に関与していない場合は死体検案書)。これらは役所への届出や保険金請求などで必要になる最も重要な書類です。

その後、速やかに葬儀社を手配し、ご遺体を自宅や専用の安置施設へ搬送します。日本の法律では死後24時間は火葬できないため、必ず安置する場所を確保する必要があります。

死亡届出人の義務と火葬許可の取得

死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村役場へ「死亡届」を提出します。届出人になれるのは親族や同居人に加え、家屋管理人や後見人などに限られています。

死亡届が受理されると「火葬許可証」が発行されます。実務上は葬儀社が代行して役所へ提出し、許可証を取得するケースが一般的です。

生前の希望に沿った葬儀・納骨・墓じまいの実行

火葬許可証を取得後、通夜や告別式などの葬儀を執行します。近年では直葬や家族葬などを選ぶ方も増えており、生前にご自身の葬儀スタイルを希望されるケースが多く見られます。葬儀後は四十九日等の法要を経て指定の墓地や納骨堂へ納骨します。後継者がいない場合はお墓を片付ける「墓じまい」や、海洋散骨などの手続きをおこなう場合もあります。

第2段階:行政機関への各種届出・年金・税金の手続き

行政機関への各種届出や、年金および税金に関する手続きです。これら公的な手続きには厳格な期限が設けられており、迅速な対応が求められます。

年金受給停止と各種被保険者証の返納

年金受給者が亡くなった場合、すみやかに年金事務所または役所へ死亡届を提出して受給を停止します。手続きが遅れて亡くなった月以降の年金を受け取ってしまうと、後日返還を求められるため注意が必要です(ただし、死亡届を7日以内に提出し、故人のマイナンバーが日本年金機構に収録されている場合は別途届出が省略できます)。

同時に、各種被保険者証の資格喪失手続きや、マイナンバーカード・運転免許証などの返納手続きを期限内に進めます。

故人の住民税・固定資産税などの納税処理

亡くなった方に対して課税されている税金の精算も重要な手続きです。住民税(その年の1月1日時点で存命であれば1年分が課税)や、不動産を所有している場合の固定資産税の未払い分については、相続人が納税義務を引き継ぐため、期限内に納税を代行しなければなりません。

準確定申告の手続きと注意点

故人に事業所得や不動産所得がある場合、または高額な年金を受給していた場合などは「準確定申告」が必要です。相続人は「故人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得」を計算し、相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内に、税務署へ申告と納税をしなければなりません。期限が短いため、税理士等の専門家へ早めに相談することが推奨されます。

第3段階:住居・不動産・生活インフラの解約と清算手続き

日常の生活基盤に関する清算業務や、住居にかかわる手続きについて解説します。

病院・介護施設の未払い金清算と退去手続き

故人が入院していた病院の医療費や、介護施設の利用料等の未払い分を清算します。また病室や施設の居室に残された手荷物などの私物を引き取る作業をおこない、部屋を明け渡すための退去手続きを進めます。

公共料金・通信契約・クレジットカードの解約

電気やガスなどの公共料金の解約および名義変更、携帯電話やインターネットなどの通信契約の解約をおこないます。

【実務家が教えるつまずきやすいポイント】

日本郵便の取扱い上、故人宛の郵便物は遺族であっても転送設定ができません。重要な請求書などを漏れなく回収するため、賃貸契約やポストを1~3カ月程度維持する方法もあります。

また、クレジットカードを解約しないまま口座が凍結されると、引き落としエラーとなり遅延損害金が発生するため早めの対応が求められます。

不動産売却に向けた空き家管理・賃貸の明け渡し

故人が賃貸アパートなどに住んでいた場合は、大家や管理会社へ解約予告をおこない、遺品整理が完了した後に部屋を明け渡します。一方、持ち家の場合は「空き家」となるため、売却が完了するまでは庭の手入れや定期的な換気、防犯対策などの適切な管理を継続しなければなりません。

近年トラブルが多い「デジタル遺品(サブスク・SNS)」の処理

近年見落とされがちなのが「デジタル遺品」です。写真データだけでなく、定額課金サービス(サブスク)の解約やネット証券のアカウント処理なども含まれます。またSNSのアカウントを放置すると、乗っ取られて情報流出するリスクやスパムの温床となる危険性があるため、遺族による追悼アカウントへの移行や削除申請が必要です。

第4段階:遺品整理と形見分け

物理的なモノの整理など重要な貴重品の扱いについて解説します。

居室内の遺品整理と不用品の処分

自宅や施設内の家財道具、衣類や日用品などを整理します。遺族だけでおこなうのが難しい場合は、専門の遺品整理業者を手配し、不用品の撤去や特殊清掃などを依頼すると良いでしょう。

貴重品の保管と指定された人への形見分け

資産家の方の場合、金庫内の現金や通帳以外にも宝飾品や美術品、骨董品などの価値ある動産が存在するケースがあります。これらは相続財産となるため、勝手に処分せず相続人等へ適切に引き継ぐ必要があります。また、生前に指定があった形見分けの品については、故人の意思に従って確実な引き渡し手続きをおこないます。

煩雑な死亡後の手続きを誰に任せるか?(生前対策)

ここまで解説してきた通り、死亡後の手続きの順番と内容は非常に多岐にわたります。これらを誰に託すのか、具体的な生前対策について解説します。

家族・親族への負担を減らすためのリスト化

残された家族への負担を減らすためには、どこにどんな契約があるのか、誰に連絡してほしいかなどをエンディングノートにリスト化しておく準備が重要です。

遺言書や成年後見制度だけではカバーできない

既存の制度だけでは、死亡後の手続き全般を処理する根拠として不十分です。

  • 遺言書の限界: 「財産の行き先」を決めるためのものであり、葬儀や解約手続きを強制する法的な力はありません。
  • 成年後見制度の限界: 原則として本人が亡くなった時点で、後見人の職務権限は終了してしまいます。一部の手続きはおこなえる場合がありますが、包括的な対応はできません。

第三者(専門家)に任せる「死後事務委任契約」という選択肢

家族に面倒をかけたくない方や頼れる親族がない方にとって、確実な生前対策として「死後事務委任契約」を結ぶという選択肢があります。

  • 生前の判断能力があるうちに、弁護士や司法書士などの第三者に対し死後の事務手続きを丸ごと託せます。
  • 「公正証書」で契約を結びます。
  • 必要な預託金などの費用を信託で保全しておくことで、死後確実にご自身の希望通りの手続きを実行してもらえます。

死後事務委任契約の費用相場や、できることの詳細については以下の記事をご覧ください。

死亡後の手続きに関するよくある質問

遺言書に「お葬式は家族葬にして」「スマホを解約して」と書くだけではダメなのでしょうか?

はい、遺言書に書いても法的な効力(拘束力)はありません。

遺言書は、主に「財産を誰にどう分けるか」を定めるものです。そのため、お葬式の希望やインターネットの解約といった事務手続きは、遺言執行者の業務対象外となってしまいます。ご自身の希望を確実に叶え、ご家族に負担をかけないためには、別途「死後事務委任契約」を結んでおくことが重要です。

故人のスマホのパスワードがわかりません。デジタル遺品やSNSの解約はどうすればいいですか?

放置は厳禁です。まずは通信会社(キャリア)本体の解約手続きを進めましょう。

パスワードが不明でも、携帯ショップへ死亡診断書などを提出してスマホ自体を解約できます。これにより、キャリア決済に紐づくサブスクリプションも連動して解約されるケースが一般的です。

ただし、クレジットカード単独での決済やSNSは個別対応が必要です。放置すると情報流出などのトラブルにつながるため、生前のリスト化がいかに重要であるかがわかります。

頼れる身寄りがない「おひとりさま」の場合、生前対策をしないと死後はどうなってしまいますか?

ご希望のお弔いができず「無縁仏」となってしまう可能性が高くなります。

身寄りがなく生前対策もしていない場合、最終的には自治体(役所)によって最低限の火葬が行われます。しかし、ご希望の葬儀や指定のお墓への納骨は叶いません。

また、賃貸アパートの退去や室内の遺品整理が宙に浮いてしまい、大家さんなどに多大な迷惑をかけてしまう恐れもあります。第三者に死後事務を託す準備が不可欠です。

手続きの順番が遅れて「年金」が振り込まれてしまいました。使っても大丈夫ですか?

絶対に使ってはいけません。速やかに年金事務所へ連絡し、返還手続きを行ってください。

年金を受け取れるのは「亡くなった月分」までです。手続きが遅れて翌月分以降を受け取ってしまった場合、放置や使用は厳禁です。

不正受給とみなされ、後日一括返還を求められるなどのトラブルに発展します。受給停止は厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内と厳格に定められています。

死亡後の手続きを専門家(弁護士や司法書士など)に依頼すると、費用相場はどのくらいですか?

どこまで任せるかによりますが、一般的には「数十万円~100万円程度」が目安となります。

役所への死亡届の提出や年金手続きといった「行政手続きの代行」だけであれば費用は抑えられます。しかし、葬儀の執行、賃貸物件の退去・遺品整理、お墓の手配(墓じまい)などの物理的な作業をすべて網羅する包括的な契約になると、その分費用は上がります。

ご自身の状況に合わせた最適なプランを知るためにも、まずは専門家の無料相談をご活用ください。

死亡後の手続きの順番を正しく理解し、元気なうちに備えよう

この記事では、亡くなった後に発生する煩雑な死亡後の手続きの順番について解説しました。

役所への届出からライフラインの解約、遺品整理、さらにはデジタル遺品の処理まで、その内容は非常に多岐にわたります。とくに資産をお持ちの方にとって、残されたご家族だけで正しい順番通りに処理を進めるのは精神的にも肉体的にも多大な負担となります。

築き上げた資産や生活を整理し、ご家族に迷惑をかけずに最期を迎えるための準備が必要です。まずは元気なうちから財産や契約のリストアップを始めましょう。必要に応じて「死後事務委任契約」などの専門的なサポートを検討することが大切です。

どんな手続きが必要になるのか、誰に頼めばいいのかわからないとお悩みの方も多いでしょう。そのような場合は、ぜひ一度、相続や終活の専門家へご相談ください。

当事務所では総合的な終活サポートをおこなっております。死後事務委任契約や遺言書作成などを通じて、皆様の不安を解消します。まずは無料相談をご利用いただき、あなたに最適な備え方をご提案いたします。

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この記事を書いた人

東京都庁で5年勤務したのち、FPとして独立。生前対策領域に7年間従事。
保有資格は一級ファイナンシャル・プランニング技能士、第一種証券外務員資格。
顧客対応実績は数百名。セミナー開催実績多数。
コラムでは実際にお客様から寄せられるご質問やお悩みを中心にわかりやすく解説します。

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