孤独死の現状とは?最新の統計データから問題点と対策を考える

孤独死の現状とは?

年齢に関係なく、一人暮らしをしていると、急に具合が悪くなり一人で死んでしまったらどうしよう・・・と不安になることがありますよね。私も一人暮らしをしていた20代の頃、急に具合が悪くなり意識がなくなるかもしれない。せめて食事のゴミだけは綺麗に片づけておこう!なんて考えていた時期がありました。確かテレビで孤独死に関する報道を見た直後の頃だったと思います。

内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」では、2030年に65歳以上の一人暮らしの割合が約800万人に増加します。

孤独死の第一発見者になった時の対応はこちらをご覧ください。

今回は孤独死の現状についてデータを用いて整理をしていきます。一人暮らしの方や一人暮らしをしている親御さんを持つ方など幅広い方におすすめの内容となっています。

「株式会社BFコンサルティング」、「不動産DIY」ディレクター。
立教大学を卒業後、司法書士・行政書士・税理士等が在籍する士業法人に13年間在籍。
高齢者の任意後見や身元保証、不動産売買仲介の業務に従事。
コラムは実務での実体験を交えてわかりやすく解説しています。
宅地建物取引士を所持。訪問介護員2級養成研修過程修了。
現在は2児の母として育児に奮闘中。

目次

孤独死とは?

主に一人暮らしの人が誰にも気づかれることなく1人で亡くなり、長期間(2日程度以上)それに気づかれない場合に使われることが多いようです。

孤独死現状レポート

2022年11月に公表された日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会による「第7回孤独死現状レポート」をベースに孤独死の現状について見ていきましょう。

その他、内閣府や厚生労働省が発表しているデータも用いており、表の下部に参考文献を記載しています。

男女別孤独死人数と死亡時の平均年齢

男女別の孤独死人数と平均年齢の表になっています。

孤独死者の平均年齢は約62歳。男女ともに平均寿命より若い段階で死を迎えていることが分かります。

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項目男性女性合計
人数5,6001,1276,727
割合(%)83.2%16.8%100%
死亡時の平均年齢(歳)62.161.261.9
65歳未満者の割合49.2%49.8%49.4%
平均寿命81.6487.7484.36
参考文献:日本少額短期保険協会「第7回孤独死現状レポート」

男女別死亡年齢の構成比

男女別の死亡年齢の構成表になっています。孤独死全体の約6割が60歳以降を占めている。

高齢者が8割超えになるかとイメージしていましたが、若い世代も約4割占めており、孤独死は高齢者だけの問題でなく、全世代にわたる大きな問題であることが分かる。

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20〜29歳30〜39歳40〜49歳50〜59歳60〜69歳70〜79歳80歳〜合計
男性2433775629851,7061,1584915,522
割合4.4%6.8%10.2%17.8%30.9%21.0%8.9%100%
女性88991261672212451611,107
割合7.9%8.9%11,4%15.1%20.0%22.1%14.5%100%
合計5.0%7.2%10.4%17.4%29.1%21.2%9.7%100%
参考文献:日本少額短期保険協会「第7回孤独死現状レポート」

一人暮らし高齢者の死亡者数

高齢者人口の増加に伴い、孤独死は増加しています。東京都福祉保健局監察医務院の統計によると「東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」は年々増加しており、2018年で3,882名となっています。

自宅での死亡者数は年増加しており、令和元年には3,936人に達した。
参考文献:内閣府令和3年版高齢社会白書(全体版)

孤独死者の死因別人数

孤独死者の死因別に表したのが下記の表です。1番多いのが病死によるもので約7割を占めています。

次に多いのが約1割を占める自殺となっています。男女別で見ると、女性の方が自殺率が高くなっており、この傾向は昔から変わらない。

死因病死自殺事故死不明合計
人数4,496702821,4476,727
割合66.8%9.8%1.2%22.1%100%
参考文献:日本少額短期保険協会「第7回孤独死現状レポート」

孤独死者の年齢別自殺者の割合

孤独死者の年齢別自殺者の割合が下記の表になります。

20代の女性が約4割と非常に多いのが分かります。20〜40代が高い水準となっており、50代以降から徐々に減少傾向にあります。

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~20代30代40代50代60代70代80代〜
孤独死全体26.3%24.7%20.4%15.0%9.0%3.4%1.2%
男性22.8%25.4%21.4%16.1%9.3%4.0%1.0%
女性38.3%22.1%16.8%11.4%8.1%1.3%2.0%
参考文献:日本少額短期保険協会「第7回孤独死現状レポート」

孤独死の発見までの日数と発見者

孤独死の発見までの日数と発見者についてはこちらの記事をご覧ください。

孤独死発生に伴う被害額と支払い保険金額

次に孤独死が発生した際に生じる居室への損害とそれに対し支払っている保険金のデータを見ていきましょう。

孤独死が発生すると残置物の処理、汚損等の原状回復によって長い時間を必要とし、さらに次の入居者が中々決まらないといった損害が生じます。

孤独死が増加傾向にあるのは家主さんも懸念しており、これが「高齢者への賃貸物件の貸し渋り」に大きく繋がっています。

残置物処理費用

平均損害額平均支払保険金
¥235,839¥235,487
最大損害額最小損害額最大支払保険金最小支払保険金
¥1,781,595¥1,080¥990,000¥1,080

現状回復費用

平均損害額平均支払保険金
¥381,111¥334,411
最大損害額最小損害額最大支払保険金最小支払保険金
¥4,546,840¥5,200¥3,000,000¥5,200

家賃保証

平均損害額
¥307,876

60歳以上に見られる孤独死の増加データ

孤独死全体の60%が60歳以上で見られており、年々増加する傾向にあります。

背景には新型コロナウイルスの流行によって、社会や近所との関わることが少なくなり、誰にも看取られることなく息を引き取ってしまうケースがあります。

最近では高齢者の方でもスマートフォンを使いこなす人が増え、子供や孫たちとビデオ通話などを通してコミュニケーションを取る事例を多く聞きます。

一人暮らし高齢者の終活はどうすればいい?

では、一人暮らしの場合、孤独死を想定して終活を行うべきでしょうか。下のグラフは、日本人全体の死亡場所に関するグラフです。

死亡場所の割合は病院が68%と最も多く、続いて自宅が16%、老人ホームが9%となっている。
参考文献:厚生労働省 令和3年人口動態統計 
※四捨五入し数字を算出しているため合計100%ではありません。

このグラフを見ると、日本人全体の約70%は病院で最後を迎えているということになります。一般的には、体調が急変すると救急車で病院に緊急搬送され、その後死亡しているということですね。そのため、まずは孤独死を過度に心配せず、病院で死亡することを想定して終活を考えるといいのかなと思います。

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