家賃滞納での明け渡し条項は「違法」

家賃滞納では明け渡し条項は「違法」

「株式会社BFコンサルティング」、「不動産DIY」ディレクター。
立教大学を卒業後、司法書士・行政書士・税理士等が在籍する士業法人に13年間在籍。
高齢者の任意後見や身元保証、不動産売買仲介の業務に従事。
コラムは実務での実体験を交えてわかりやすく解説しています。
宅地建物取引士を所持。訪問介護員2級養成研修過程修了。
現在は2児の母として育児に奮闘中。

目次

追い出し条項とは?

2022年12月12日、最高裁は家賃保証会社が定めた「追い出し」条項は違法という判決を言い渡しました。

家賃保証会社が賃借人との保証委託に関する契約書の中で定めた「追い出し条項」とは、

①家賃等を3カ月以上滞納したときには、賃借人に催告せず賃貸借契約を解除できる。

②賃借人が家賃等を2カ月滞納し、連絡がつかず、電気・ガス・水道が長く未使用などの条件がある場合は「明け渡し」があったとみなす。

という内容のものです。家賃滞納等のよる明け渡しについては、法的に正しい手続きを行う必要があることを再認識した判決であり、入居者に紹介する保証会社の保証委託契約書にも一度しっかり目を通す必要があると反省しました。

家賃滞納者への対応

ところで、話は変わりますが、7年程前に当時管理していた物件(中古戸建)に、家賃保証会社を利用せず連帯保証人を定めて入居した方がいました。50代の女性と80歳のお母さまの2人暮らしの入居者で、お母さまが所有していた物件の売買も担当した入居者だったので、まさか家賃を滞納するとは考えもしませんでした。

しかし、入居して2年後に家賃滞納が始まりました・・・。状況の確認のため、朝7時頃や夜9時過ぎに訪問したこともありましたが、いつ訪問しても不在?居留守?で、オーナーもしつこく訪問し、「鍵を交換してしまいたい・・」と感情的になっていたのを覚えています。家賃滞納の解決は気苦労が多く感情的になりますが、法的に正しい手続きを行い冷静に対処することが一番という出来事を思い出しました。

ちなみにこの後日談ですが、お母さまが亡くなったことで年金収入がなくなり、50代女性は仕事もしておらず不動産の売買代金を全額使い切ってしまったようでした。また、70代のオーナーは、家賃保証会社より連帯保証人派でしたが、これ以来家賃保証会社を使うようになりました。

最後に、私もお客様が不動産を売却する本当の理由(このお客様は病院の近くに引っ越したいということが売却理由でしたが、本当は生活のために現金が必要だったのでは?)をより確認するようになりました。

役に立った!と思ったら他の人に教えよう
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次