「一棟マンションは投資家に人気だから、売却は比較的スムーズに進む」
そう思っているオーナーは少なくありません。
しかし実際の現場では、「売りたいのに買い手が現れない」「査定価格の半分以下しか提示されない」といった、深刻なケースも数多く存在します。
なぜ、一棟マンションは売れなくなるのでしょうか。
その理由はシンプルです。投資家が期待する収益よりも、物件に潜むリスクのほうが大きいと判断されているからです。
空室率の増加による収益性の低下、融資が通りにくい物件条件、立地の弱さ、そして見落とされがちな管理体制の問題。
これらが複雑に絡み合うと、物件は市場から敬遠され、「ババ抜き物件」として買い叩かれてしまいます。
実際に私が関わった案件では、入居者の4割が家賃滞納、契約書すら存在しない入居者がいるという、売却不能寸前の一棟マンションがありました。
しかし、管理体制の正常化と戦略的な改善を行った結果、当初査定の2倍以上の価格で売却することに成功しています。
もしあなたが、
「物件がなかなか売れない」
「管理会社に不信感がある」
「査定価格が安すぎて納得できない」
そう感じているなら、この記事はきっと役に立つはずです。
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一棟マンションが売れない4つの根本的な原因
一棟マンションが売れない最大の理由は、買い手(投資家)が期待する収益よりも、抱くリスクのほうが、上回っているからです。
不動産投資市場において、投資家は「将来にわたって安定したキャッシュフローが得られるか」をシビアに判断します。売却が進まない場合、以下の4つのいずれか、あるいは複数が原因となっているケースがほとんどです。
- 収益性の低下とキャッシュフローの悪化
- 金融機関の融資審査が通らない物件特性
- 地方需要低迷や立地不良というハンデ
- 放置された家賃滞納と管理のブラックボックス化
原因1:収益性の低下とキャッシュフローの悪化
投資家が物件を評価する際、最も重視するのは実質的な利回りです。
新築時と比較して空室率が上昇し、周辺の家賃相場下落に伴って想定賃料割れが起きている物件は、収益物件としての魅力が大幅に低下します。さらに、築年数経過による老朽化で修繕費が増加し、手元に残る現金(キャッシュフロー)が圧迫されている場合、投資家は「赤字リスクが高い」と判断して購入を見送ります。
原因2:金融機関の融資審査が通らない物件特性
収益物件の売買は、買主が金融機関からローンを借りられるかどうかにかかっています。
法定耐用年数を超えた物件や、建ぺい率・容積率オーバーなどの法令違反がある物件は、銀行の融資難航が予想されます。また、正確なレントロール(賃貸借一覧表)が整備されていないなど、資料の不備は投資家不信を招き、結果として買主の資金調達を不可能にしてしまいます。
原因3:地方需要低迷や立地不良というハンデ
不動産投資の基本は立地です。
駅からバス便などの立地不良に加え、過剰供給エリアで入居率低下が止まらない物件は、将来の出口戦略(再売却)が見えません。特に地方需要低迷のエリアでは、資産価値下落のスピードが速く、将来の価格維持が困難とみなされ、買い手候補が極端に少なくなります。
原因4:放置された家賃滞納と管理のブラックボックス化
最も深刻かつ見落とされがちなのが、管理不備による物件の状態悪化です。
家賃滞納者が放置されていたり、過去トラブルの履歴が不明確だったりする物件は、買い手から見れば「時限爆弾」を抱えているようなものです。管理状況がブラックボックス化していると、たとえ利回りが高く見えても、投資家はリスクを嫌って相場よりもかなり低い指値をいれるか、投資対象から外してしまいます。
【実録】管理不備が招いた一棟マンション売却不能の危機
不動産投資において、一棟マンションの売却は比較的スムーズに進むイメージがあるかもしれません。しかし、中には売るに売れない泥沼の状態に陥っている物件も存在します。
私が実際に手がけた、家賃滞納者が4割に達し、管理状況が完全にブラックボックス化していた物件の舞台裏をご紹介します。
相談のきっかけ:放置された郊外マンションの悲鳴
ご相談をいただいたのは、長年お付き合いのある地主様からでした。
相続で引き継いだ郊外のマンション。先代が地場の管理会社に任せ切りにしており、毎月の送金明細は不透明で、担当者に連絡しても要領を得ない。不安を感じたオーナー様から「いっそ売却したい」と依頼を受けたのが始まりでした。
しかし、調査を進めると耳を疑うような実態が判明しました。
- 立地のハンデ: 駅からバス便という、恵まれない立地。
- 異常な滞納率: 全入居者の約4割が家賃滞納者。
- 契約の杜撰さ: 賃貸借契約書すら存在しない複数の入居者。
現状での売却も可能ではあるものの、買い手候補からするとリスクが大きすぎて、相場の半値以下の値しかつきません。いわゆる「ババ抜き」の対象になってしまう状況でした。
調査で判明した異常な滞納率と契約の杜撰さ
管理会社を調査したところ、滞納が発生しても適切な催促が行われておらず、入居率低下を恐れて「誰でもいいから入居させる」という悪循環に陥っていました。
投資家が物件を購入する際、最も信頼を置くべきレントロールが事実と異なり、修繕積立不足も深刻。この「管理の膿」が、物件本来の価値を押し下げていたのです。
戦略的な正常化:不動産コンサルタントとしてのメッセンジャー戦術
オーナー様の利益を守るため、私は「そのまま売る」のではなく、まず「物件を正常な状態に戻してから売る」ことを提案しました。
- 旧管理会社との決別
まずは内容証明郵便にて管理解約を通知。不明瞭だった物件資料や管理データの開示を粘り強く求め、実態をあぶり出しました。 - 泥臭い対人交渉
ここで重要なのは「非弁行為(弁護士法違反)」に抵触しないことです。あくまで私はオーナー様の意思を伝えるメッセンジャーとして、滞納者に未払い賃料の支払いを通知。連絡が取れない入居者には、警察立ち会いのもとで安否確認を実施し、コンタクトを取っていきました。 - 契約の巻き直しと保証の付帯
契約書がない入居者とは一から契約書を巻き直し、滞納者には家賃保証会社への加入を徹底させました。
正常化の結果:売却価格は当初想定の2倍以上に
2ヶ月に及ぶ正常化作業の結果、物件は「満室稼働かつ家賃保証付きの投資物件」へと生まれ変わりました。
最終的に、当初の査定額(半値以下)の2倍以上、つまり市場相場通りの価格で売却に成功。未払い家賃の回収分も含め、オーナー様の手元には多額の資産を残すことができたのです。
売れない物件を市場相場へ引き戻すための具体的な4つの解決策
物件が売れない原因が明確になれば、それに応じた対策を講じることで、価値を再生させることが可能です。以下に、前述の原因と対比させた解決策をまとめました。
| 原因 | 解決策 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| 収益性の低下 | 資産価値の再構築 | 賃料査定の見直し、コストを抑えたリノベーション、修繕計画の策定 |
| 融資の難航 | 資料の透明化 | レントロールの再整備、定期借家契約への転換、法令遵守状況の確認 |
| 立地のハンデ | ターゲット最適化 | 募集プロモーションの強化、付加価値(ネット無料等)の導入 |
| 管理の不備 | 管理体制の刷新 | 管理会社の変更、滞納問題の解消、家賃保証システムの導入 |
解決策1:収支改善と大規模修繕による資産価値の再構築
利回りを改善するためには、単に経費を削るのではなく、適切な投資が必要です。
現在のニーズに合わせた設備更新や、清潔感を出すための外壁塗装などの修繕を実施し、空室対策不足を解消します。これにより、投資家が重視する「将来の修繕リスク」を軽減し、高値での売却を可能にします。
解決策2:資料の透明化と出口戦略を意識した契約形態
買主が融資を受けやすくするため、過去の修繕履歴や入居状況を完全に透明化します。
また、将来の建て替えや一括売却を視野に入れ、新規募集時は『定期借家契約』にしておくと、立ち退き費用を縮小できるため、出口戦略が明確になり、玄人好みの物件として評価が高まります。
解決策3:プロモーションの強化と入居ターゲットの最適化
立地不良の物件であっても、ターゲットを絞り込んだ募集戦略を立てれば入居率は安定します。
たとえば、周辺の競合アパートにはないペット可条件の付与や、内装のコンセプト化など、正しい募集プロモーションを実施すれば、過剰供給エリアでも選ばれる物件になります。
解決策4:管理体制の刷新と滞納問題の徹底解消
管理が機能していない場合は、速やかに管理会社をチェンジしましょう。
滞納問題を解消し、全入居者に家賃保証会社をつけて「家賃が入ってこないリスク」を低く抑えることが、売却価格を最大化する近道です。見えないリスクを極力排除した状態で市場に出すことが重要です。
よくある質問
滞納者がいてもそのまま売却できますか?
可能ですが、大幅な買い叩きの対象となります。まずは滞納問題を解消し、正常化させてから売却するほうが、手残り金額は圧倒的に多くなります。
定期借家契約にすると入居が付きにくくなりませんか?
正しいプロモーションを行えば、意外とスムーズに入居は決まります。将来の価値を守るために有効な手段です。
あなたの不動産の真の価値を取り戻すために
一般論として、収益物件の売却は買い手候補が多いため、情報を流すだけで簡単に取引できると思われがちです。しかし、管理状況が悪化した物件を形にするためには、現場での実務経験と、ギリギリのラインを見極める交渉ノウハウが必須となります。
今回のケースのように、知識部分や提案内容自体は不動産会社なら普通に思いつくものです。しかし、それを形にする実行力が、最終的な売却価格に2倍以上の差を生みます。
不動産会社ならどこでも対応できるわけではありません。
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一棟マンションやアパートの収益物件において、賃貸募集する際は『定期借家契約』にしておくと、将来の建替え時、立ち退き費用をカットできます。定期借家で募集すると、入居付きが悪いんじゃないか??と思われがちですが、正しい募集プロモーションを実施すれば、意外と上手くいきます。
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