大家都合退去時の心得|店舗の立ち退き料に法的な定めはない

大家都合退去時の心得|店舗の立ち退き料に法的な定めはない

不動産を所有していると、いずれ避けては通れない立ち退き問題。

退去を求める際に必要となる立ち退き料ですが、具体的な法律による定めは存在しません。

それでは大家都合で退去を求める場合、どのように立ち退き料を決め、いつ支払い、交渉はいつするべきなのでしょうか。

家がわずかに残るアパート、店舗などの判例を見てみると、様々な事情が影響していることがわかります。

経済的損失を考慮した合理的な額や、時には和解交渉で決まることも。

相続対策や不動産投資に詳しい専門家として、立ち退き交渉をスムーズに進め、双方に納得のゆく解決を導くためのポイントを分かりやすくお伝えします。

佐賀大学卒業
公共土木設計に10年、測量・登記・開発に16年、不動産実務に13年、相続・後見に11年。
保有資格は土地家屋調査士、測量士、2級建築士、宅地建物取引士、相続対策専門士など他多数。
実務実績は相続相談件数が2,000件、任意後見契約数が300件、不動産売買仲介数が350件など他多数の豊富な実績。
コラムは実務での実体験を交えてわかりやすく解説しています。

トータル50年の実務実績を活かし、現在は不動産で悩む人がいなくなるよう、正しい不動産の知識を広める活動をしています。

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    目次

    大家都合の退去時において、店舗の立ち退き料に法的な定めはありません

    店舗やオフィスの立ち退き料の決め方に法的な定めがあると思っている方が多いですが実際にはありません

    これは大家都合の退去時においても同様です。

    なぜなら、賃借人の物件の使用目的、経済状況、物件の種類、立ち退きの理由によって大きく変わるからです。

    裁判の判例についても後ほど解説しますが、双方の経済状況や考えをよく考慮された上での判例となっており、法的な定めに沿って判決を下されていません。

    法的な定めがないなかで、どうやって立ち退き料を定めているかを詳しく解説していきます。

    立ち退き料の基礎知識

    賃貸物件において、大家都合で入居者が退去する際に支払われることがある「立ち退き料」。

    この概念は、賃貸借契約の重要な一部であり、物件の移転や再開発などのケースで話題に上ります。

    立ち退き料の金額や支払い条件は、交渉によって大きく異なることが一般的です。

    立ち退き料とは

    立ち退き料とは何かについて確認をしていきましょう。

    立ち退き料とは、大家さんの都合により賃貸物件から退去することになった場合、入居者に対して支払われる補償金です。

    この料金は退去に際してかかる引越し費用、次の物件への移転費用、損失補填などを考慮して算定されます。

    ただし、賃借人が契約違反などの理由で退去する場合には、原則として立ち退き料は発生しません。

    賃貸人と賃借人との間で、その金額や条件を定めた交渉が行われます。

    立ち退き料は払うべき?

    立ち退き料の支払い義務の有無や金額は、賃貸借契約の内容や具体的な状況によって異なります。

    賃貸人が賃貸物件を建て替えたり売却したりするために賃借人に退去をお願いする場合は、「正当事由」がないと貸主からの契約解除はできません。

    そして、正当事由を補完するためにも、立ち退き料の支払いが求められるケースが多いです。

    ただし、契約書に特別な条項がある場合や裁判所の判決による場合もあるため、一概に支払うべきとは言えません。

    相場や理由をきちんと理解し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

    立ち退き料の交渉時期

    立ち退き料の交渉は、賃貸人から退去を要請された時点で開始されます。

    経済的な負担や心理的な影響を考慮し、早期に交渉を始めることが望ましいでしょう。

    交渉には、立ち退き料の金額だけでなく、退去の条件や時期、新居への移転支援等の項目も含まれるため、総合的な視野で検討する必要があります。

    立ち退き料の支払い時期

    立ち退き料の支払い時期は、賃貸人と賃借人の間での交渉によって決定されます。

    多くの場合、退去が完了し明け渡しが行われた後に支払われることが多いです。

    ただし、賃借人が新しい住まいへの引越し費用や、他の経済的な負担を前もって支払う必要がある場合、ある程度の前金を受け取ることもあります。

    契約内容や交渉次第で支払い時期は前後することがあるため、納得できる形での合意を目指しましょう。

    立ち退き料の判例

    立ち退き料は、賃借人が賃貸物件から退去する際、賃貸人受け取る金銭のことですが、その具体的な額には一定の基準が存在します。

    いくらを請求できるかについては、その物件や立ち退き理由に根ざした複雑な要素が影響します。

    一戸建ての立ち退き判例

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    立ち退き料正当事由概要裁判所の判決
    400万円有り・賃貸用アパートの築年数が古く老朽化が進んでいる。
    ・賃借人は高齢で新しく入居できる物件がない。
    賃貸人が明渡しにより受ける不利益は立ち退き料の提供により補完できるものとする。
    8,300万円有り・建物を解体して、マンションを新築する計画。
    ・妻の職場が近いことや周辺に友人が居住している。
    賃貸人が明渡しにより受ける不利益は立ち退き料の提供により補完できるものとする。
    -無し・築年数が50年を経過しており、建て替えを行う。
    ・賃貸人は家賃を払うことがやっと
    修繕ではなく、建て替えの方法は認められない。

    オフィスの立ち退き判例

    スクロールできます
    立ち退き料正当事由概要裁判所の判決
    3,000万円有り・建物の耐震基準に適合していないので建て替えをしたい。
    ・賃借人の事業は不動産仲介業であり、近隣の知名度は高い。
    建物の取り壊し理由に妥当性があり、オフィスを移転したとしても知名度が失われることがないはずなので、立ち退き料が支払われた場合、正当事由を認める。
    1,300万円有り・継続して使用することに問題がないが、高層ビルを建設してより利益を得たい。
    ・倉庫として利用しているが移転することで不利益になることは否定できない。
    立ち退きの理由が私的なものであること。建物の建て替えに緊急性がないことから立ち退き料が支払われた場合、正当事由を認める。
    -無し・築年数が38年で耐震基準に適合していないので建物を解体したい。
    ・立地がよく営業上の利点となっている。
    耐震診断審査の根拠がない。立ち退き料を支払う意思もなく、正当事由を補完すべき事情もない。

    店舗の立ち退き判例

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    立ち退き料正当事由概要裁判所の判決
    1億3,300万円有り・漫画喫茶を営業しており、事業の中で一番の収入源となっている店舗。
    ・老朽化が進んでいて、新たにビルを建て直す具体的な計画がある。
    一番の収入源になっているものの、営業拠点として必要不可欠であることの証明が難しいことから、立ち退き料が支払われた場合、正当事由を認める。
    2,300万円有り・ビル内に老朽化や不具合が見られる。
    ・同じ場所で20年以上営業してるため、別の場所で行うと集客力が落ちてしまう。
    ビルの状況から建て替えをする必要性が高い。集客力は落ちるものの使用状況からすると、立ち退き料が支払われた場合、正当事由を認める。
    -無し・建物の耐震基準に適合していないので取り壊して駐車場としたい。
    ・賃借人は飲食店を営んでおり、移転先で同等の集客力を得ることが困難だと考える。
    駐車場の利用を具体的に計画している根拠がない。立ち退き料も用意されているが、それは正当事由の補完でしかなく、今回は正当事由があると認められない。

    立ち退き料の決め方と費用相場

    立ち退き料の決め方に法的な定めはないと説明しましたが、実際にはどうやって決められいるか見ていきましょう。

    賃料の◯ヶ月分のような明確な相場や基準はありません

    立ち退き料を決める際に、以下の数字を用いていると思われる方も多かと思いますが、そういったルールはありません。

    • 賃料の◯ヶ月分
    • 建物の敷地価格の◯%

    立ち退き料は賃借人が次の場所で生活や事業を再開するまでに発生する経済的損失を補うものです。

    そのため、移転先は今と同条件かそれに近い物件になります。立ち退きを理由として、より良い物件を賃貸人に負担させるというものではありません。

    この経済的損失が居住用・事業所・店舗によって異なるため、どういった点を考慮して算出していくか詳しく解説していきます。

    居住用の場合

    居住用の場合、大きく分けて以下の項目を立ち退き料として考えます。

    • 引越し費用
    • 引越し先契約時の仲介手数料

    今の借家にある家具類を運搬する際に発生する「引越し費用」や食器類等を梱包するための「梱包費用」が引越し費用として含まれています。

    また引越し先の物件を契約する際に、「仲介手数料」「敷金」「礼金」などが発生するため「仲介手数料」として負担することが妥当です。

    事業所の場合

    事務所の場合、大きく分けて以下の項目を立ち退き料として考えます。

    • 引越し費用
    • 大型オフィス家具の場合は設置費用
    • 休業補償
    • 諸費用 届出、あいさつなど

    引越し費用は居住用と同じ考えですが、事務所となると大型オフィス家具(打ち合わせ用の机や椅子、ホワイトボード等)を設置する費用が別途発生する場合は負担します。

    また移転に伴って休業する際は、その間の補償が必要になります。

    店舗の場合

    店舗の場合、大きく分けて以下の項目を立ち退き料として考えます。

    • 引越し費用
    • 機材の設置費用
    • 内装費用
    • 休業補償
    • 賃料差額補償
    • 営業補償
    • 諸費用、届出、あいさつなど

    店舗では内装を移転前で修復費、移転先で内装費が発生します。

    また「この場所で営業する必要性」というのが業種によってはあります。

    例えば、駅前の集客に有利な店舗である場合や常連客が沢山いる店舗などは、この場所を離れてしまうと集客力が落ちてしまう恐れがある事情があります。

    その場合には営業している場所の周辺で探す必要がありますが、賃料の差額が発生するケースがあります。

    「近くに空き店舗があったが今の賃料よりも高い」こういった場合は、「賃料差額補償」として負担します。

    さらに移転によって常連客が離れることが想定される場合には、「営業補償(得意先喪失補償)」が発生します。

    ただし、こちらの補償は算出が複雑であるので慎重に進める必要があります。

    裁判所ではどうやっている?

    裁判所ではどのようにして解決に向かっているのでしょうか?

    大きく分けて2つの方法が挙げられます。

    • 経済的損失額から決める
    • 当事者間で和解交渉

    ①経済的損失額から決める

    「借地借家法」には、賃貸人が正当な理由をもって賃借人に退去を求める場合についても定めがありますが、立ち退きによる補償については明確な基準は示されていません。

    ここで、よく参考にされるのが、公共事業による立ち退きの際の「公共用地の取得に伴う補償基準」です。

    この基準は本来、道路拡張や再開発など公益のための土地取得で用いられるものですが、賃貸人都合での退去のケースにおいても、裁判所や弁護士によってよく引用されます。なぜならば、個々の借家やアパートの事情に適した補償金の算出方法が他にないからです。

    しかし、単純にこの基準が適用されるわけではありません。物件ごとの条件や賃貸借契約、周囲の相場、そしてその立地が持つ重要性など、多岐に渡る事情を考慮に入れる必要があります。

    特に移転先での生活の質や経済的な利益を維持するためには、適正な補償金額の算定が重要です。

    新居での家賃、引っ越し費用、営業損失など、移転にかかわる諸経費を総合的に評価することが求められるのです。

    さらに、不動産鑑定士が立ち退き料の内訳を作成し、算定方法や結果について提案を行います。

    これには、建物の価格評価はもちろんのこと、商業施設としての収益性や場合によっては店舗としての人気度も影響するため、鑑定士の専門知識が重要になります。

    不動産投資を考えている皆さんも、このようなトラブルが起こり得ることを念頭に置き、適切な契約書の作成や条件の設定が必要だと言えるでしょう。

    また、いざという時のために、信頼できる弁護士や管理会社との連携を確認しておくことも賢明です。

    お互いの立場を守るためには、やはり専門家のアドバイスが不可欠です。

    納得のいく解決を目指し、請求や補償に関する交渉は専門家に依頼することをおすすめします。

    裁判になったとしても、適正な補償金額の算定とその根拠を明確にすることで、円満な解決の可能性が高まります。

    賃貸人、賃借人の両方にとって、金銭的な負担を適正にし、土地や建物を巡る問題を平穏に解決する道を選ぶべきです。

    ②当事者間で和解交渉

    まず第一に当事者間での和解交渉が行われます。

    しばしば、弁護士や専門家が介入して交渉をサポートすることがあります。

    弁護士は法律や判例に精通しており、賃貸人と賃借人の橋渡し役として適切な補償、そしてその後の移転先や時間的な余裕を含めた条件作りをサポートします。

    まさに経済的なバランスと心理的なケアを織り交ぜ、双方が納得のいく合意を形成するための専門家です。

    和解は裁判よりも時間と費用を節約できる可能性が高く、双方にとって好ましい解決を目指しますが、条件が折り合わない場合は最終的な裁定を裁判所に委ねることになります。

    たとえば賃借人と賃貸人の間で賃料の価格に関するトラブルがあった場合、双方の立場や事情、法律に基づく正当な権利を考慮しながら、妥当な解決策を提案します。

    負担能力や賃貸物件の状況、市場価格などを踏まえた上で、適切な金額の提示が和解の鍵となります。

    また、交渉過程ではそれぞれの主張や証拠を十分に検討し、公平な解決を目指します。

    立ち退きの交渉をスムーズに進めるために大家ができること

    立ち退き交渉は、しばしば賃借人と賃貸人の間でトラブルになりがちです。

    しかし、賃貸人が適切な手順と配慮をもって進めることで、双方にとって満足のいく解決につながることも少なくありません。

    立ち退きの要求が賃貸人都合であっても、賃借人に対して十分な説明と補償を提供することが重要です。

    立ち退きをする理由を伝える(正当事由)

    立ち退きの理由を借主に伝える際は、その理由が正当であることが必須です。

    これらの理由を説明することで、賃借人も納得しやすくなります。

    また、立ち退きが発生する期日やそれに伴う補償内容(例えば引っ越し費用や新居への移転費など)を明確に伝えることで、借主の理解を得る助けになります。

    ただし、これまでの裁判の判例を見ると、建て替えにおいては「具体的な計画」。取り壊しにおいては「今取り壊しべきかの妥当性」を重点で見られているので時間をかけて綿密に進める必要があります。

    移転先の物件探しを手伝う

    立ち退きを要求する際に、移転先の物件探しを手伝うことは賃貸人の誠意を示す行動です。

    無料での物件探しの支援や、仲介手数料の負担、新居の家賃が高額であれば差額の補償を提案するなど、転居に伴う費用や条件面で借主をサポートすることが肝心です。

    これにより、交渉がスムーズに進み、双方の理解と合意につながる可能性が高まります。

    弁護士や不動産鑑定士に相談する

    立ち退き交渉を適切に進めるためには、専門的な知識が必要になるケースがあります。

    特に、金額の算定や契約の解除条件など、法的な問題が発生した場合、弁護士や不動産鑑定士に相談することが有効です。

    法律事務所や管理会社と協力し、適正な金額や条件の提案を行うことで、賃借人との信頼関係を築きつつ、トラブルの未然防止に努めることが大切です。

    また、裁判所の判例や借地借家法などの規定を踏まえた正しい対応を心がけることが求められます。

    立ち退き料の決め方まとめ

    立ち退き料の決め方について様々な視点から解説をしました。

    裁判の判例からも分かる通り、賃貸人が「これが立ち退きをしてもらう正当事由です。」と主張したとしても、裁判で認められるのはほんの一部であることです。

    結論としては、定期借家契約にすることで、立退料の話はありません。

    数年後に建替えを予定しているような建物の場合は、早めに定期借家契約に切り替えるのがベストです。

    立ち退きの問題は、借家やアパートにお住まいの方、または不動産投資や運用をお考えの賃貸人にとって重要な課題です。

    賃借人と賃貸人との間で発生する退去の際に請求される立ち退き料には法的な定めがなく、金額は個々の契約や相場、裁判所の判例、具体的なケースなど様々な要素を考慮して決める必要があります。

    立ち退き料の算定は、契約内容や物件の条件、状況に応じた適切な方法で行われるべきです。

    立ち退き料が発生する理由は大家都合であることが一般的ですが、居住していた人気の住宅や商売のための店舗など、様々な事情を考える必要があります。

    移転にかかる費用や失われる利益など、経済的損失を考慮した計算が行われる一方で、双方の合意に基づく交渉が求められます。

    特に、無料で気軽に利用できる弁護士無料相談などを活用して、専門家に相談することも問題解決への一歩となります。

    この記事を参考に、状況に応じた適切な立ち退き交渉や決め方について理解し、ご自身の立場を守るために知識を活用してください。

    また、複雑な費用や損失の計算、必要な交渉手続きについては、専門家への依頼も一つの有効な選択です。

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