住宅市場において、ハウスメーカーのサブリース契約が注目を集めています。
管理戸数ランキングと共に、多くのオーナーがこの契約形態を選ぶ理由には、安定した収入が保証されることがあります。さらに、時間と労力を大幅に削減できる点や、金融機関からの融資を受けやすくなることも大きなメリットです。
しかし、サブリース契約は全ての人に適しているわけではありません。
「なんのために不動産投資をしているか?」その目的がサブリース契約と合致しているかを様々な視点から考える必要があります。
サブリース契約は、縛りやデメリットが多いです。
この記事では、ハウスメーカーのサブリースのランキングやメリット、そして注意点に焦点を当て、あなたの賢い選択をサポートします。
続きを読んで、サブリース契約の真実を探りましょう。
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ハウスメーカーのサブリースとは?
ハウスメーカーのサブリースは、不動産の賃貸経営を代行する仕組みです。
ハウスメーカーが不動産を一括借り上げし、家賃収入を保証します。これにより、安定した収入を得ることができ、空室のリスクを軽減できます。
これを「マスターリース契約」と呼ばれています。
ハウスメーカーは建物を建てることが仕事です。さらに、何か問題が発生したときもハウスメーカーが対応してくれます。
ハウスメーカーとは?
- 積水ハウス
- セキスイハイム
- 住友林業
- ダイワハウス
- へーベルハウス
- ミサワホーム
など住宅の設定・施工・販売を行う会社です。CMや広告で一度は上記の名前を聞いたり、目にしたことはあるのではないでしょうか。
アパート専門のハウスメーカー
- 大東建託
- レオパレス
- 東建コーポレーション
などは、土地活用の手法として、アパート建築を斡旋しています。
管理が面倒な地主に対して、建築した建物を自社で一括で借り上げるという仕組みを作りました。
これが一括借上げと呼ばれています。
- 建築費
- 管理費
上記の2軸で利益を上げています。
ハウスメーカーの特徴
ハウスメーカーの特徴として、以下があります。
- 仕様が高く建築コストが高い。
- 一括借上げができる。
- 会社の規模が大きいので、契約する際に安心感がある。
- 費用は高いが不動産の運営・管理で手間はかからない。
- 収益性は低いが、コストが高い分相続税は圧縮できる。
ハウスメーカーの管理戸数ランキング
全国賃貸住宅新聞が2024年8月5日に、ハウスメーカーの管理戸数ランキングを公表しました。
順位 | 会社名 | 戸数 | マスターリース戸数 |
---|---|---|---|
1位 | 大東建託グループ | 126万1104戸 | 124万2156戸 |
2位 | 積水ハウスグループ | 70万8464戸 | 非公表 |
3位 | 大和リビング | 65万9148戸 | 60万6159戸 |
4位 | レオパレス21 | 55万4373戸 | 55万1038戸 |
5位 | 東建コーポレーション | 28万7060戸 | 26万327戸 |
このランキングを見ると、管理戸数の大半がマスターリースであることが分かります。
「多くの人がやっているから賃貸経営はマスターリースで安心」と思っていては危険です。
ハウスメーカーのサブリース契約は、合う人と合わない人がいます。さらに、サブリース契約は内容をよく理解した上で契約をしないと後々トラブルが発生していきます。
サブリース契約のメリット
サブリース契約は完全にやばいというわけではなく、メリットもご紹介します。
たとえ物件に入居者がいなくても、管理会社が家賃を支払い続けるため、安定した収入が得られます。不動産投資に不慣れな方でも安心して始められる点が魅力です。
以下では、具体的なメリットについて詳しく説明します。
労力や時間の削減で手間がかからない
不動産の管理や運営には、多くの手間や時間がかかります。
しかし、サブリース契約を利用することで、日常的な管理業務は管理会社が行うため、所有者は時間と労力を大幅に削減できます。
ほとんどの場合は、手間がかかりません。
賃貸物件の運用経験がない方でも安心して物件を所有でき、他の資産運用や趣味に時間を充てることが可能です。
特に代々土地を引き継いでいるが、賃貸経営に時間を割きたくない方にとっては、大きなメリットだと言えるでしょう。
安定した収入が得られる
サブリース契約では、通常、所有者と管理会社の間で一定期間の家賃保証が行われます。これにより、空室が続いても家賃収入が途切れる心配がありません。
不動産投資を始めるうえで、安定した収入を得ることは非常に重要です。この点が特に50代や60代の方々にとっては大きな安心材料となるでしょう。
収入の計画が立てやすく、長期的な資産形成の1ステップとして有効です。
建物の質が高い
ハウスメーカーのサブリースでは、建物の質がしっかりと保たれるため、長期的に資産価値を維持しやすいという特徴があります。
メーカー自体が建物の設計と施工を管理するため、材料の選定から建築基準の遵守に至るまで、細部にわたって品質管理が行き届いています。
賃貸経営をする上では、過剰と言われるくらいの質の高さです。
さらに、サブリース契約によって定期的なメンテナンスが行われるので、経年劣化による資産価値の下落を最小限に抑えることができます。これにより、安心して長期間にわたって不動産を所有することができるのです。
金融機関の融資は受けやすい
金融機関によっては、サブリース契約による家賃保証を評価されやすいです。
これは、サブリース契約が安定した家賃収入を約束するため、金融機関にとってもリスクが低く、信用力が高いと評価されるからです。
特に新築物件の場合、固定資産としての評価も高く、その価値が証明されやすいため、融資条件が有利になることが多いです。
不動産投資を初めて行う方にとっては、スムーズな資金調達ができることから、より安心して一歩を踏み出せる要因となるでしょう。
サブリース契約のデメリット
サブリース契約はメリット以上にデメリットが大きく、これを理解しておくべきです。
例えば、相続対策や商事信託を視野に入れながら検討する必要があります。特に50代から60代の方が新たに不動産投資を始める際には、契約内容をしっかりと理解し、不測の事態に備えておくことが重要です。
ここでは、サブリース契約の具体的なデメリットに注目してみましょう。
賃料は下がる
サブリース契約では、賃料が定期的に見直されることが一般的です。
初期の契約ではある程度の賃料が保証される場合が多いですが、定期的な見直しにより賃料が下がることがあります。
特に、周辺の不動産市場の変動や物件の劣化状況によって影響を受けることがあり、安定した収入を期待していたところが思った以上に少なくなるケースもあります。また、サブリース会社は自社の利益を優先するため、借地借家法を生かした交渉の力によっては、一方的に賃料が引き下げられることもあるため、契約内容に注意が必要です。
途中解約できない
サブリース契約がもたらすもう一つの大きなデメリットは、途中解約が難しい点です。
なぜならば、サブリース会社が借主となっているため、借地借家法によって借主側が大きく保護されます。
よって、オーナー都合での解約はできず、解約するためには正当事由が必要です。
契約期間中に不動産投資の方針転換や、相続の状況変化によって資産処分を検討したい場合でも、一方的に契約を解除することはできません。
原状回復費は貸主負担
サブリース契約では、原状回復費用が貸主であるオーナーの負担となることがほとんどです。
物件が使用された後、賃貸前の状態に戻すための費用が発生します。これには、壁紙の張り替えやカーペットの交換などが含まれ、思わぬ出費となる可能性があります。
不動産の相続対策としてサブリースを選択する場合でも、このような追加費用は予算に組み込んでおくほうが安心です。事前にサブリース業者とどの程度の費用負担を見込むべきかを話し合い、契約書の内容をしっかりと確認することが重要です。
サブリース契約が合う人と合わない人
サブリース契約が合う人と合わない人の違いは以下の通りです。
サブリース契約が合う人 | 収益性を気にせず、代々引き継いだ土地を残したい地主。 |
---|---|
サブリース契約が合わない人 | 収益性を求める不動産投資家 |
収益性を求めて不動産投資をする場合は、ハウスメーカーに依頼している投資家はほぼいません。
さらには、契約の縛りやデメリットが多い、サブリース契約もしません。
サブリース契約が合う人
サブリース契約が合う人は、代々引き継いだ土地を残したい地主が当てはまります。
土地をそのまま引き継いで放置していたとしても、相続税を支払わないといけないが「不動産投資の勉強の時間を確保できない」なんて方も当然います。
不動産投資は、運用するまでにある程度の知識を学ぶ必要があり、不動産投資に興味はないが引き継がざるを得ない方にとっては非常にストレスなことです。
そんな方にとっては、土地を残しつつ、土地活用としてアパートを建てられるので、相続税の圧縮にも繋がります。
サブリース契約が合わない人
一方で、サブリース契約が合わない人は、収益性を求める不動産投資家になります。
一番の理由は、自分で賃貸経営するケースに比べて収益性が低いためです。
- 管理会社に比べて費用が高い。
- 長期的に見て家賃が下落するリスクがある。
- 建物自体の質が良い分、修繕工事の費用がかかる。
- 収益性を求めたい人。
- 売却したい時に、解約を求めると高額な違約金が必要になる。
一例として、上記のようなデメリットが挙げられます。投資家にとっては、どれも懸念すべきデメリットではないでしょうか...
収益性を求めるのであれば、サブリース契約はおすすめしません。
サブリースに合わない人は世の中の全ての人です。
サブリース契約をするくらいなら、サブリースが持つデメリットがない、「商事信託」をおすすめします。
詳しくは下記のコラムをご覧ください。
ハウスメーカーはなぜサブリースをするのか
一番の理由は、一括借上で借主になるため、借地借家法によってサブリース会社側が法律で守られるためです。
それによって、「基本的に契約解除ができない」仕組みなため、収益の安定性が見込め、解約するオーナーからは違約金を受け取れます。
さらには家賃設定をサブリース会社側で行えるため、賃貸経営の主導権を握ることができます。
「手間がかからない」という魅力的なメリットの裏には、サブリース側の思惑が見え隠れすることも理解しておきましょう。
サブリース契約に合う人か見極めて慎重に進めましょう
ハウスメーカーのサブリースには、さまざまなメリットがあります。特に、安定した収入が得られる点は、多くの方にとって魅力的です。
管理がハウスメーカーによって行われるため、オーナーの労力や時間が大幅に削減され、金融機関の融資も受けやすくなります。建物の質も高く、長期的な資産価値を守ることが期待できます。
サブリース契約が向いているのは、手間を省きつつ、収益性ではなく代々引き継いだ土地を守りたい方です。
一方で、契約内容に制約を感じる方や、自分自身で管理したいという方には向かないかもしれません。どの契約を選ぶかは、各自のライフスタイルや投資スタンスによって異なります。
ハウスメーカーの特徴をよく理解しながら、自分に最適な選択を心掛けたいものですね。
大切なのは、安心して資産を運用し、将来的な相続対策にもつながる選択をすることです。どんな選択をするにせよ、信頼できる専門家の相談を活用しながらしっかりと情報を集めることが成功への第一歩となります。
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相続対策案 全38種を網羅したチェックシート
全ての案を検討することによって
- 全体最適を実現
- 漏れがなくなる