管理会社と税理士に二重に搾取されていた。財産診断が明らかにした『設計なき相続』の実態

管理会社の変更・相続税の修正申告・財産診断を段階的に実行。「節税対策」の名目で組まされたフルローン不良債権を食い止め、資産全体を立て直した事例です。

ご相談内容

3つのキーワード

管理できない

騙されている

設計がない

母が相続した一棟マンションの管理会社から、毎回100万円程度の原状回復費用を請求されているが、妥当かどうか判断できない。さらに、管理会社と懇意の税理士から「相続税対策になる」と強く勧められ、フルローンで築古一棟マンションを購入。今度は「あと5棟買いましょう」と言われており、このまま進めてよいか不安になって相談に来た。

「言われるがままに動いてきたが、本当に大丈夫なのかずっと不安でした」

解決策

3段階の資産立て直しで構造ごと解決

  • 管理会社を変更 → 原状回復費の適正化・空室期間の短縮
  • 相続税の修正申告 → 過払い分300万円の還付を実現
  • 財産診断の実施 → 全資産の時価・評価・収益性を可視化し、遺産分割の方向性を確定

ボッタクリ管理会社から解放

相続税300万円還付

不良物件の追加購入を阻止

担当者コメント

相続税の節税だけを見せて、フルローンを組ませて現金資産を目減りさせたうえで、築古の物件を高値で購入させ、サブリースまでつけられていた。圧倒的に管理会社だけが儲かる仕組みに、まんまとはめられていた典型的なケースです。

不動産屋が自らの利益を追求して高値売却・サブリース付けをするのは、ある意味「良い仕事」と言える面もある。しかし、税理士がこれに加担するとなると話が違います。親が子を思って対策をしたつもりが、子にとって最悪な資産を残すことになる。これは許されない事案です。

だからこそ今回は、目先の問題(管理会社・税理士)の対処だけでなく、資産全体を俯瞰して「このご家族にとって本当に必要な設計は何か」を一から考え直すことにしました。財産診断を通じて全資産の時価・評価・収益性を可視化し、長男と長女がそれぞれ何を引き継ぐかの方向性を決めていただけたことが、最大の成果です。

何より大きかったのは、「もうこれ以上騙されない状態」をつくれたことです。

事例研究1 相談している様子
目次

ご相談者プロフィール

今回ご相談をいただいたのは、父が亡くなり相続が発生したご家族です。

ケース2 相談者プロフィールと資産内容
相談者長女(45歳・既婚)
きっかけ管理会社への疑念と税理士への不安
資産総額約5.5億円(土地+建物)
年間収支家賃収入1,200万円 ー 固定資産税200万円 ー ローン返済
財産の種類内容評価額(概算)
土地(全体)賃貸マンション敷地・自宅・生産緑地など約4億円
建物賃貸マンション1棟(相続)+購入マンション1棟約1.5億円
現預金約5,000万円
借入金フルローン購入分約1.8億円

家族構成:父(80歳)・母(75歳)・長男(50歳・未婚・別居)・長女(45歳・既婚)

財産構成:不動産83% / 現預金9% / 借入金あり(実質資産を圧迫)

BEFORE:3つの構造的問題

問題 01

管理できない

原状回復費・空室期間・更新対応のすべてを管理会社任せにしており、費用の妥当性を判断できる人間が家族の誰もいなかった。

問題 02

不良債権を抱えている

税理士の強い勧めでフルローン1.8億円で購入した築古マンション(時価1.1〜1.4億円)。ローン返済後の手残りはわずか月10万円。相続時には残債+サブリース付き不良資産が残る。

問題 03

設計がない

「節税になる」という一言で意思決定が動いてきた。時価・評価額・収益性・遺産分割の方向性、どれも整理されておらず、全体像が誰にも見えていなかった。

ACTION:実行の流れ

フェーズ1 ── 相談直後(緊急対応)

STEP
まず管理会社の実態を調査

原状回復の相見積もりを取ったところ、現管理会社の見積もりの約半額でリフォームできることが判明。空室期間も退去後1ヶ月放置という異常な状態だった。

STEP
管理会社を変更

オーナーの利益を全く考えない管理実態が明確になったため、管理会社の変更を提案・実行。変更直後、旧管理会社は引き継ぎもせず共用部の照明を無告知で解約。悪質な対応が最後まで続いた。

「変えてよかった。あのままだったらと思うとぞっとします...」

事例2 不動産会社との契約のようす

フェーズ2 ──  財産診断の実施

STEP
相続税申告の見直し

2年前の相続税申告を調査したところ、土地評価にミスが発見された。修正申告を実施し、約300万円が還付された。当時の税理士は申告費用を10万円しか受け取っておらず、代わりに不必要な不動産斡旋・過剰な原状回復工事の勧めで利益を得ていた疑いが濃い。

「還付されるとは思っていなかった。あの申告自体がおかしかったんですね」

STEP
財産診断の実施と遺産分割の設計

全資産の時価・相続税評価額・収益性を整理。フルローン購入マンションが不良債権であることが数字で明らかになった。父母の意向を確認した上で、遺産分割の大まかな方針を決定。

  • サブリース付きマンション(不良債権)→ 長男が引き継ぐ
  • 相続した築古一棟マンション → 長女が引き継ぐ
  • その他土地 → 相続税の原資として保有
STEP
これ以上の物件購入を阻止

理会社変更・不良物件売却の打診を進めるタイミングで、税理士が頼まれてもいない顧問契約解除の通知を一方的に送付。事実上の逃亡。追加購入の話は立ち消えとなった。

事例2 勉強会に参加

フェーズ3 ──  継続的な体制づくり

STEP
長女が不動産実務検定2級を受講

「知識がなかったから騙された」という根本問題を解消するため、長女に賃貸経営の基礎を学んでいただいた。同じことを繰り返さないための最後の対策。

判断の分岐:なぜこの選択をしたか

このケースでは、複数の選択肢が検討されました。それぞれを選ばなかった理由が重要です。

分岐① 不良債権マンションの処分方法

方法メリットデメリット判断
売却(購入した管理会社に打診)現金化・残債精算担当不在の一点張りで交渉不能。母が「騙された」と認めたくない心理断念(母の意向)
保有継続(現状維持)手間なし毎月手残り10万円のまま。相続時に子どもへ負担が残る現状の選択
長男が相続で引き継ぐ遺産分割の整理がつく長男への負担が大きい父母の意向により採用

採用理由:売却が感情的に困難な状況の中で、少なくとも「誰が何を引き継ぐか」を明確にし、残りの資産設計に集中することを優先した。

分岐② 税理士への対応

方法メリットデメリット判断
継続(現税理士のまま)手間なし不良物件追加購入リスクが続く。信頼できない採用せず
関係解消リスクの排除税理士側から一方的に解約通知が届き自然消滅結果的に解消
修正申告で関係を清算過払い還付・関係の整理父が激昂するリスク採用 ◎

採用理由:修正申告を実施することで過払い300万円の還付を実現しながら、同時に「この税理士は信頼できない」という事実を数字で証明できた。父の激昂はあったが、最終的に信頼を得ることにつながった。

BF式:全体最適の視点から見たこのケース

BFコンサルティングが大切にしているのは「全体最適」という考え方です。相続・不動産・福祉・金融のそれぞれに専門家はいますが、どれも「自分の専門領域に限定した提案」になりがちです。

BFコンサルティングが行ったのは、こうした個別論を一度すべて横に置き、資産全体を俯瞰して4つの判断軸で「構造から設計し直す」ことでした。

全体最適の4軸チェック

BF式全体最適では、「収益性」「流動性」「管理負荷」「相続への影響」4つの軸でチェックを行います。

このケースの状態対策の方向性
収益性手残り月10万円(フルローン物件)。管理費垂れ流し管理費適正化・空室率低下・収益改善
流動性不良債権のため売却困難。身動きが取れない遺産分割の方針が確定し、次世代への移行設計が可能に
管理負荷管理会社に丸投げ。費用の妥当性すら判断できない管理会社変更・長女の知識習得で自律的な管理体制へ
相続への影響不良債権+高評価資産が混在。誰が何を引き継ぐか不明財産診断で全体像が明確に。分割方針が確定
BF式全体最適に当てはめた方向性
  1. 場当たり対策をしない → まず「財産全体の可視化(診断)」から。物件売却・税理士交代より先に全体像を把握する
  2. 難しい資産から先に処分する → 最も問題の大きい管理会社を最初に変更し、関係を整理してから次へ進む
  3. 将来の出口から逆算して設計する → 「最終的に誰が何を引き継ぐか」を先に決め、そこから逆算して対策の優先順位を決めた

AFTER資産が「守れる状態」に変わった

「節税対策のつもりが不良債権」という状態から、全体像を可視化し、管理・税務・分割の3つを同時に整理した結果です。

収益性

原状回復費が半額以下に。

相見積もりで管理会社の水増しが発覚。管理会社変更により空室期間も大幅短縮。

コスト削減

相続税 300万円が還付

2年前の申告書の土地評価ミスを発見。修正申告により過払い分が戻ってきた。

管理負担

ボッタクリ管理会社から完全解放

管理会社を変更し、長女が不動産実務検定を受講。自ら判断できる体制に。

相続対策

財産診断で全体像が確定

時価・評価額・収益性を可視化し、長男・長女それぞれの引き継ぎ方針が決まった。

再現条件:このケースが有効な条件

この事例のような「財産診断→管理会社変更→修正申告」という流れは、以下の条件が重なるケースで特に有効な選択肢になります。

  • 賃貸不動産を保有しているが、管理費・修繕費の妥当性を判断できていない
  • 税理士や不動産会社から「節税になる」と勧められて物件を購入したことがある
  • 相続後の財産を専門家任せにしており、全体像を把握できていない
  • 複数の相続人がおり、誰が何を引き継ぐかが決まっていない
  • 過去の相続税申告に不安がある、または一度も見直したことがない

まず、あなたの状況をお聞かせください。

それぞれの状況によって、最適な対策の順番と内容は変わります。BFコンサルティングでは、部分的な対策ではなく「相続・不動産・収益・次世代」を一つの設計図として捉える全体最適の視点から、あなたに合った対策を一緒に考えます。

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この記事を書いた人

岡部 弘幸のアバター 岡部 弘幸 代表取締役社長

佐賀大学卒業
公共土木設計に10年、測量・登記・開発に16年、不動産実務に13年、相続・後見に11年。
保有資格は土地家屋調査士、測量士、2級建築士、宅地建物取引士、相続対策専門士など他多数。
実務実績は相続相談件数が2,000件、任意後見契約数が300件、不動産売買仲介数が350件など他多数の豊富な実績。
コラムは実務での実体験を交えてわかりやすく解説しています。

トータル50年の実務実績を活かし、現在は不動産で悩む人がいなくなるよう、正しい不動産の知識を広める活動をしています。

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