実家じまいという言葉を聞いたとき、多くの方は空き家問題や不動産の売却といった話を思い浮かべるかもしれません。
でも実際にその場面に直面してみると、それは単なる家の整理ではありません。そこには、家族が過ごしてきた時間そのものが残っています。
この記事では、実家じまいの意味と全体の流れ、かかる費用の目安、そして経験して初めてわかったことを、体験をもとにお伝えします。いつか訪れるその日のために、少しだけ読んでみてください。
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「実家じまい」とは
「実家じまい」とは、家を売ることだけではありません。
「実家じまい」という言葉を聞くと、親が住まなくなった実家を整理・処分といった流れを思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際にその場面に直面してみると、それは単なる家の整理ではありません。
そこには、家族が過ごしてきた時間そのものが残っています。
私自身、それを実感したのは父が亡くなったときでした。
父は福岡の田舎で暮らしていました。
私は遠方で生活しており、気づけば父とは10年以上ほとんど会っていませんでした。
父は、90代で認知症になった祖母の面倒を見ながら、二人で暮らしていました。
そんな父が亡くなり、私は実家の整理をすることになりました。
久しぶりに実家の扉を開けたとき、まず感じたのは
想像以上に多くの物が残されているという現実でした。
実家じまいは、「家を売ること」だけではない
実家じまいというと、不動産会社に依頼して売却する、というイメージを持つ方も多いかもしれません。 でも実際には、それ以前にやるべきことが山ほどあります。
家財の片付け、不用品の処分、遺品整理、仏壇の扱い。 そして相続登記や名義変更といった手続きまで、一連の作業が必要になります。
費用も、内容によってかなり幅があります。
| 作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 遺品整理・不用品処分 | 10万〜50万円程度 |
| 建物の解体(戸建て) | 100万〜300万円程度 |
| 不動産売却の仲介手数料 | 売却額の3%+6万円(上限) |
| 相続登記(司法書士依頼) | 5万〜15万円程度 |
費用を誰が払うかは、相続人全員で話し合って決めるのが基本です。 兄弟間で意見が分かれることも少なくないので、できるだけ早めに方針を共有しておくことが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。
自治体によっては、空き家の解体や改修に対する補助金制度を設けているところもあります。 まずは実家がある市区町村の窓口に相談してみるといいでしょう。
家の中に積み重なっていた、家族の時間
家の中には、父が使っていた生活用品がそのまま残っていました。
衣類、古い書類、生活用品、使われなくなった道具。
男性ならではの物も含め、父の生活の痕跡がそのまま残っていました。
しかし整理を進めていくうちに、それが父の物だけではないことに気づきました。
祖父が亡くなったとき、家の整理はほとんど行われていなかったのです。
そのため、家の中には祖父の時代の物もそのまま残っていました。
私の祖父は、柿園を営んでいました。
そのため、物置や倉庫には柿の栽培に使っていた道具が数多く残っていました。
収穫のための長い道具や農作業に使っていた古い器具。
今ではもう使われることのないそれらの道具は、祖父が長い年月をかけて続けてきた仕事の痕跡でもありました。
祖父が亡くなり、父が年を重ね、そして家の中には物だけが静かに残り続けていました。
実家の整理をしていると、
家族の歴史の層のようなものが見えてくることがあります。
思い出は、思いがけない場所から現れる
実家の整理は、体力的にも精神的にも簡単な作業ではありません。
一つひとつの物を手に取りながら、
「これは残すべきか」
「これは処分していいのか」
そんなことを考えながら整理を進めていきます。
しかし、その途中で思いがけないものが見つかることがあります。
私の場合、それは幼い頃の自分の写真でした。
古いアルバムの中に、小さかった頃の自分の姿がありました。
家族で過ごしていた時間の一瞬が、そのまま残っていました。
普段の生活の中では思い出すことのなかった記憶が、実家の中からふと現れてきます。
実家という場所は、単なる建物ではありません。
そこには、家族が積み重ねてきた時間が詰まっています。
だからこそ、実家じまいは思っている以上に時間も気力も必要になるのだと思います。
「実家じまい」は、これから多くの人が直面する問題
実家の整理を経験して感じたのは、この問題は決して特別なものではないということでした。
むしろ、これから多くの人が直面する問題だと思います。
親世代が高齢になり、子ども世代は都市部や遠方で暮らしている。
家族が同居することが当たり前ではなくなった今、実家をどうするのかという問題は、多くの家庭で避けて通れないテーマになりつつあります。
実家は残っているけれど、そこに住む人はいない。
そしていざ整理をしようとすると、想像以上に大変。
こうした状況は、全国で起きています。
実家じまいは不動産の問題でもありますが、それ以上に家族の暮らし方の変化が生み出した社会の課題でもあるのです。
放置された実家は、固定資産税や維持費がかかり続けます。
老朽化が進めば近隣への影響も出てきますし、相続登記が未了のまま時間が経つほど、手続きが複雑になっていきます。
早めに動くことが、家族全員の負担を減らすことにつながります。
一人で抱え込まないために
実家じまいを進めるうえで、もう一つ大切なことがあります。 一人で抱え込まない、ということです。
遺品整理や不用品の片付けは、専門の業者に依頼することもできます。 不動産の売却や相続の手続きは、不動産会社や司法書士に相談するのが確実です。 費用や税金のことが不安なら、相続に詳しい税理士やコンサルタントに早めに話を聞いてみるといいでしょう。
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特に資産規模が大きい場合、譲渡所得税や相続税の特例をどう活用するかで、手元に残る金額が大きく変わることもあります。 専門家への相談は、決して大げさなことではありません。
自治体の空き家相談窓口を活用したり、複数の業者に見積もりを取ったりすることも、無駄なコストを抑えるための現実的な手段です。

東京都の場合は、窓口で無料に相談できます。さらに、内容によっては「東京都空き家家財整理・解体促進事業補助金」の対象になる場合があり、補助金を活用することができます。
終活とは、残された家族のための思いやり
実家の整理を経験して、強く感じたことがあります。
それは、終活とは自分のためだけのものではないということです。
- 身の回りの物を整理すること。
- 家族と将来のことを話しておくこと。
- エンディングノートを書いておくこと。
こうした準備は、残された家族が困らないようにするための思いやりでもあります。
生前整理や終活は、「死を意識すること」ではなく、「家族への配慮を形にすること」だと思います。
もちろん、すぐに何かを始める必要はありません。
ただ、少しだけでも家族で話してみることが、将来の負担を大きく減らすことにつながります。
よくある質問
「実家を考えること」=「家族の未来を考えること」
実家じまいとは、家を片付けることだけではありません。
それは、 家族が歩んできた時間を振り返り、そしてこれからの未来を整える作業でもあります。
私自身、父の家を整理しながら、祖父の仕事の痕跡や、家族の思い出と向き合うことになりました。
そして同時に、
「もしもう少し早く家族で話していれば...」
と思うこともありました。
もし今、ご両親が元気で実家があるなら、いつか訪れるその日のために、少しだけ考えてみてはいかがでしょうか。
実家をどうするかを考えることは、
家族のこれからを考えることでもあるのです。
実家じまいや相続対策について、何から始めればいいかわからない方へ。
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