私道のみに面した土地売却|注意点と売却のコツを解説

私道のみに面した土地売却|注意点と売却のコツを解説

不動産売却や土地取引において、私道に面した物件は特殊な問題を抱えており、売主も買主も注意が必要です。

本記事では、私道のみに面した土地を売却する際のポイントや、私道と公道の違い、そして私道における通行掘削承諾について詳しく解説します。

高橋 正和のアバター 高橋 正和 不動産コンサルタント

群馬県出身、2人の子を持つ父親です。大学卒業後、大手不動産仲介会社で30年以上にわたり、土地・戸建・マンション・一棟マンション・アパート・借地権など500件を超える不動産取引に携わってまいりました。これまでの経験と実績を基に、お客様の利益を第一に考え、安心安全な取引を心掛けて日々取り組んでおります。

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目次

私道のみに面した土地を売却するには承諾書を結びましょう

私道のみに面した土地の売却は一見難しいように感じるかもしれませんが、適切な手順を踏めばスムーズに進行することが可能です。

重要なのは、私道を共有している所有者全員からの承諾を得ること。

承諾書を結ばないまま売却を進めてしまうと、最悪の場合、売却後に「工事車両が通行できない」と買主からクレームが入り、トラブルに繋がります。

また、承諾の内容にも注意が必要です。歩行だけではなく車両が通行できるかどうかを確認する必要があります。

そのため、必ず売却前の早い段階で現状を確認しましょう。

この際、口約束などではなく、承諾書の作成が必須となります。

承諾書は売買契約の透明性を確保し、トラブルの回避にも繋がるため、念入りに準備しましょう。

私道と公道の違い

私道とは、道路の管理者(所有者)の視点で区分した呼称で、管理者が個人のものを呼びます。

管理者(所有者)
公道都道府県、市町村等
私道個人
私道と公道の違い

まずは、私道と公道の違いについて確認します。最大の違いは、管理者(所有者)にあります。

簡単に言うと、公道は公共の利益のため国や地方自治体が管理している道路、私道は個人や複数の所有者が共有する道路のことを指します。

私道を含む不動産取引では、通行権などの権利関係が複雑になるケースがあり、これが物件の査定価格や売却の可否に影響を及ぼす可能性があります。

私道の所有形態

そして、私道の所有形態は次の3通りに分類されます。

  1. 共有持分
  2. 単独所有(近接・分離)
  3. 私道負担
私道の所有形態
私道の所有形態

私道の管理者は複数人の場合がある

私道はその名の通り、公道とは異なり私有地です。

しかし、その所有権は必ずしも一人に限られるわけではありません。

実際には複数人で共有しているケースが多く、これが私道を取り巻く問題の一因となっています。

たとえば、土地を売却したいが、共有している私道の部分について他の共有者の承諾が必要になることがあります。

特に、共有者が複数いる場合、道路の修繕や清掃といったメンテナンスに関して、その費用をどのように分担するか、また必要に応じた工事や改良について誰が決定するのか、といったことが争点となりがちです。

不動産取引にあたっては、私道に関する正確な知識の理解と、共有者間での円滑なコミュニケーションが非常に重要です。

私道の役割と制限

建築基準法の指定を受けた私道の場合、利用者の通行の支障とならないように道路内の建築制限があり、一定の公共性を担保しています。

また、対象私道を変更・廃止するためには、原則としてその私道に接するすべての敷地およびその敷地上の建物に関する権利者(所有者だけでなく借地権者も含まれます)全員の同意が必要です。

道路には通行の他に、もう一つライフラインの敷設という大事な役割があります。

道路内に敷設されているライフラインは、給水管・下水道管・ガス管等があります。

これらのライフラインの維持管理も私道の所有者または共有者が行うこともあります。

また、私道を舗装する場合には共有者の同意や負担金が必要になる場合もあります。

このように、私道は個人の所有権ではありますが、私道の共有者と不可分の共同体として権利義務を有する特殊な状態にあるといえます。

私道の通行・掘削承諾書とは

他人が所有している土地(道路)を通行する場合には、原則、承諾が必要になります。

例外的に他人地を通らないと公道に出られない囲繞地については民法上の囲繞地通行権が認められ、必要最小限において他人地を通行することが認められています。

なお、私道が建築基準法に指定されている場合には前述したとおり一定の公共性があるため、通行は可能となります。ただし、通行が可能となる場合においても車両の通行ができるかどうかについては、また別の問題です。

このように、私道の所有権や持分をもっていない土地へアクセスするためには、原則、通行する私道の所有者から承諾をもらう必要があります。

また、建物建築の際にライフラインを道路から自分の敷地に引込む際に道路を掘削する必要があるため、その部分の掘削についての承諾も必要になります。

これを一般的に「私道の通行掘削承諾」を呼びます。

私道のみに接する土地の売買時に最も注意が必要となるのが、この通行掘削承諾です。

私道の持分を持っていない場合には更に注意が必要になります。

通行掘削承諾書サンプル

通行掘削承諾書は、下記より無料でダウンロードいただけます。

    私道の使用許可が取れない場合はどうなるか

    • 建築基準法の道路であれば、歩行による通行は可能である
    • 工事車両の通行や掘削に関しては個別の承諾が必要であり、工事内容によっては工事ができない可能性がある
    • 買主が融資を利用する場合、融資を受ける銀行が融資実行しない可能性がある
    • 自分の土地に自家用車の乗入ができない可能性がある
    • 上記の理由により、売却価格が下がる可能性がある

    私道を利用する際には、所有者間の合意のもとでの使用が基本であり、自由に使えるわけではない点に注意が必要です。

    特に、普段から通行に用いられている道路であっても、車両の通行を阻止されたり、道路の掘削に制約があったりするケースがあります。

    一昔前は、ご近所付き合いなどで承諾いただけるケースが多かったです。しかし、最近は所有者の認知症や死亡しているケースによって承諾が取れないケースが増えています。

    「私の場合は大丈夫だろう。」と思わずに早めの行動をおすすめします。

    通行掘削承諾でもめるポイント

    私道は、そもそも2項か位置指定道路(1項5号)なので、道路幅員が狭いことが多く、大きな工事車両が頻繁に通ると近隣への騒音や振動が迷惑となる場合が多いので注意が必要です。

    • 永続的な第三者承継は認めない
    • 通行は許可するが、車両を除く
    • 工事車両がうるさい
    • 工事業者のマナーが悪かった
    • 日曜日の朝から工事しててうるさい

    売買の時には、通行掘削承諾の取得が売主側の停止条件となる事が多く、建売業者等への売却の場合には、第三者承継の文言を条件に付けられることが一般的である。

    売主に対して承諾されても、すぐに所有権は買主業者そして転売する消費者に移るため、第三者承継については必須となります。

    私道のみに面した土地を売却するときの注意点

    • 私道掘削承諾を取得するのに時間がかかるので、早めに着手する
    • 近隣の方と友好的な関係を築く
    • 承諾依頼は売主が自分で動く(業者任せにしない)
    • 私道持分を少し譲ってもらう

    私道のみに面した土地の売却には、一般の売却と異なる点がいくつかあります。

    このような土地は売買が複雑になるケースも多く、事前に専門家への相談や適切な契約の検討を行うことが、トラブルを避ける上でとても重要です。

    よくある質問

    私道に面した土地の価値は?

    私道にしか接していない土地は、アクセス性の懸念から通常の公道接道地よりも価値が下がる傾向があります。
    ただし、以下のような要因が整っていれば、価値が下がりにくくなります:

    • 通行・掘削などの承諾が明文化されている
    • 接道義務(幅4m以上、接地2m以上)を満たすなど、建築可の条件がクリア
    • 私道管理者との維持・修繕費の負担の取り決めが明確

    不動産評価では、アクセスや利用制限が少ないほど価格低下を抑えられ、相対的に価値を保ちやすくなります。

    私道のみに面した土地の建て替えはできますか?

    私道接道地でも条件を満たせば建て替え可能です。ただし以下の点に注意が必要です。

    • 接道義務:建築基準法では「幅員4m以上の道路に2m以上接道」が必須。私道でもセットバックによりクリアすれば建替え可。
    • 通行・掘削承諾書:給排水管や基礎工事で掘削が必要な場合、私道の所有者全員からの書面での許可が必須
    • 管理費と責任の明記:私道の修繕・除雪など費用負担について、関係者間で明確に取り決めし契約書に記載しないと、トラブルの原因になります。

    私道掘削に係る民法改正の概要

    私道掘削に係る民法改正(2023年4月施行 民法第213条の2)の概要について解説していきます。

    継続的給付を受けるための設備の設置権等

    1 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第一項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。

     前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

     第一項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。

     第一項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第二百九条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。

     第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。

     第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。

     第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。

    引用:民法 第213条の2項

    要点を解説していきます。

    • 設備設置権が明文化されたことにより、必要な範囲内で他人所有の私道に給排水管等を設置することができるようになりました。
    • 設備使用権が明文化されたことにより、必要な範囲内で他人所有の給排水管等の設備を使用することができるようになりました。
    • 上記の使用については、償金や維持管理費を負担する必要があることが明文化されました。
    • 私道掘削の必要性が生じた場合、事前(2週間~1ヶ月)に私道所有者等に目的・場所・方法を通知すれば掘削は可能となりました。

    以上のように掘削や設備の使用については、法的に認められましたが、実態としての利用価値が下がれば当然銀行としての担保評価が下がるので、市場価格も下がってしまいます。

    そうならないためにも近隣との良好な関係を築き、できるだけ私道の持分を持つ、ということが財産保全の観点からは大切です。

    実際に売却するとなった場合には、公道に面した土地・建物より早めに準備を進めましょう。

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    この記事を書いた人

    高橋 正和のアバター 高橋 正和 不動産コンサルタント

    群馬県出身、2人の子を持つ父親です。大学卒業後、大手不動産仲介会社で30年以上にわたり、土地・戸建・マンション・一棟マンション・アパート・借地権など500件を超える不動産取引に携わってまいりました。これまでの経験と実績を基に、お客様の利益を第一に考え、安心安全な取引を心掛けて日々取り組んでおります。

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