測量は相続対策の第一歩となる4つのメリット

測量は相続対策の第一歩となる4つのメリット

相続対策と聞くと、 多くの方がまず思い浮かべるのは、

  • 遺言書の作成
  • 相続税の節税対策
  • 家族信託や生命保険の活用

といった「制度」や「金融的な対策」ではないでしょうか。もちろん、これらは非常に重要です。 しかし、これらと同等に且つ効果の高い相続対策、それが土地の測量・境界確定です。

実務の現場では、

「測量さえ終わっていれば、ここまで揉めなかった」
「測量が終わっていないせいで、売却も分割も進まない」

こうした声を、数えきれないほど耳にします。なぜ測量が、ここまで相続対策として重要なのか。
その理由は、大きく4つのメリットがあります。

佐賀大学卒業
公共土木設計に10年、測量・登記・開発に16年、不動産実務に13年、相続・後見に11年。
保有資格は土地家屋調査士、測量士、2級建築士、宅地建物取引士、相続対策専門士など他多数。
実務実績は相続相談件数が2,000件、任意後見契約数が300件、不動産売買仲介数が350件など他多数の豊富な実績。
コラムは実務での実体験を交えてわかりやすく解説しています。

トータル50年の実務実績を活かし、現在は不動産で悩む人がいなくなるよう、正しい不動産の知識を広める活動をしています。

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目次

測量が相続対策になる4つのメリット

  1. 土地の売却がスムーズにできる
  2. 隣地立会が比較的スムーズに進む
  3. 測量費を相続財産から支出できる
  4. 相続税の土地評価の基礎資料になる

測量が相続対策になる4つのメリットについて、実務の視点からそれぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット1:土地の売却がスムーズにできる

1つ目のメリットは、「土地の売却がスムーズにできる」です。

相続税の申告・納付期限は、 相続開始から10か月以内です。しかも原則は、 現金一括払い。つまり、 相続財産に不動産が多く、現金が少ない場合、 「売却して納税資金を確保する」ことが前提になるケースも珍しくありません。ここで問題になるのが「時間」です。

仮に、 四十九日が終わってから本格的に動き出した場合、 実質的に使える期間は約8か月。一方で、測量の現状はどうでしょうか。

  • 官民境界確定(官民査定)の長期化
  • 自治体対応の地域差

こうした要因により、 測量の標準処理期間は確実に延びています

特に官民査定が絡む場合、 現在では 4か月程度を想定しておくのが安全です。

しかもこれは、 「隣地所有者全員と問題なく連絡が取れ、合意が得られた場合」に限った話です。

実際には、 様々な要因で測量が止まってしまうケースが非常に多いのが現実です。

  • 相続で所有者が変わっており連絡先が不明
  • 高齢・入院・施設入所で立会が難しい
  • 境界認識が食い違っている

結果として、下記のようなトラブルが実際に起きています。

  • 引渡し時期が延びる
  • 買主の融資期限に間に合わない
  • 最悪、契約解除になる

仮に測量が順調に完了したとしても、 残された時間は約4か月。

その間に、買主探し、売買条件の調整、遺産分割協議を並行して進めなければなりません。冷静に考えて、 精神的・実務的にかなり厳しいスケジュールです。

だからこそ、 生前のうちに測量と境界確定を終えておくこと自体が、立派な相続対策になります。

今すぐ売らなくても、 「いつでも売れる状態」にしておくことは、 財産を守ることに直結します。いずれやることが決まっているのであれば、時間にゆとりがある時にやっておきましょう。

メリット2:隣地立会・境界確認がスムーズにできる

2つ目のメリットは、「隣地立会・境界確認がスムーズにできる」です。

測量実務において、 最大の山場は「隣地立会」です。境界確定は、 測量士だけで完結するものではありません。

隣地所有者の協力が不可欠です。ここで生前測量が効いてきます。

被相続人本人は、

  • 長年その土地に住んでいる
  • 近隣と顔見知り
  • 日常的な関係性がある

というケースがほとんどです。

そのため、「ちょっと測量で立会をお願いしたいんだけど…」という一言が、 非常に重みを持ちます。

一方、相続後はどうでしょうか。

  • 突然、見知らぬ相続人から連絡が来る
  • 「売却のため」と聞いて警戒される
  • 関係性がゼロからのスタート

人間関係の観点からも、 立会のハードルは一気に上がります。もちろん、 過去の境界トラブルや感情的なしこりがある場合には、 相続後の方が話が進むケースもあります。

しかし、一般論としては、 生前の方が立会は圧倒的にスムーズです。これは制度の問題ではなく、「人の心理」の問題です。

メリット3:測量費を相続財産から支出できる

3つ目のメリットは、「測量費を相続財産から支出できる」です。

土地の測量には数十万~100万円超の費用がかかることも珍しくありません。しかし、生前に測量を行えば、 その費用は 被相続人本人の支出として処理できます。

  • 現預金が減る
  • 相続財産総額が減る
  • 相続税の課税ベースが下がる

という効果が生じます。相続後に相続人が負担すると、 単なる「持ち出し」ですが、 生前であれば合理的な資産整理になります。

特に、将来的に売却が見込まれる土地や細長い・複雑な形状で分けにくい土地、兄弟姉妹で共有になりそうな土地については、 測量を先送りするメリットはほぼありません

メリット4:相続税の土地評価の基礎資料になる

4つ目のメリットは、「相続税の土地評価の基礎資料になる」です。

測量図があることで、 相続税評価において次のような点が明確になります。

  • 正確な地積
  • 不整形地の形状
  • 間口・奥行の実態

これにより、不整形地補正などを、より適切に適用できます。測量図がない場合、 評価はどうしても「簡易的」になりがちです。

結果として、本来下げられた評価が下がらない、不必要に高い評価で申告してしまうリスクがあります。

仮に、 測量を行うことで相続税が100万円下がるとしたら、 測量費用を差し引いても、十分に意味があります。必須ではありませんが、 あると非常に強力な武器になる資料です。

測量は「地味だが最強の相続対策」

近年、高齢化による社会構造の変化により、 境界立会は確実に難しくなっています。その影響は、すでに不動産売買や相続実務の現場にはっきりと表れています。

だからこそ、

備えあれば憂いなし

測量は相続対策の第一歩

なのです。

派手さはありませんが、 これほど確実に“効く”対策は、実は多くありません。

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この記事を書いた人

岡部 弘幸のアバター 岡部 弘幸 代表取締役社長

佐賀大学卒業
公共土木設計に10年、測量・登記・開発に16年、不動産実務に13年、相続・後見に11年。
保有資格は土地家屋調査士、測量士、2級建築士、宅地建物取引士、相続対策専門士など他多数。
実務実績は相続相談件数が2,000件、任意後見契約数が300件、不動産売買仲介数が350件など他多数の豊富な実績。
コラムは実務での実体験を交えてわかりやすく解説しています。

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