第一弾:「障害者グループホーム」という選択肢
人口減少と高齢化が進む中、
「ただの空室対策」だけでは、これからの不動産経営は立ち行かなくなりつつあります。
必要なのは、社会的な意義を持ち、かつ安定的な収益を生み出す投資モデル。
本シリーズ【福祉×不動産投資】では、社会課題の解決と資産運用を両立させる実践的な方法を紹介していきます。
第一回目は、今注目を集める「障害者グループホーム」の活用について掘り下げます。
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障害者グループホームとは?
障害のある方々が、地域社会の中で自立した生活を営むために設置される、共同生活型の住まいです。
正式名称は、「共同生活援助」(障害者総合支援法に基づく)と呼ばれており、法律では以下のように定められています。
17 この法律において「共同生活援助」とは、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ若しくは食事の介護その他の日常生活上の援助を行い、又はこれに併せて、居宅における自立した日常生活への移行を希望する入居者につき、当該日常生活への移行及び移行後の定着に関する相談その他の主務省令で定める援助を行うことをいう。
引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 第5条
分かりやすく基本概要をまとめると以下の通りです。
【グループホームの基本概要】
- 生活支援員などが日常生活のサポートを提供
- 原則1ユニット4~10人程度の少人数制
- 24時間対応型、夜間支援型など運営形態にバリエーションあり
障害者グループホームで期待できること
障害者グループホームでの生活には、さまざまなメリットが期待できます。
- 障害のある方の自立支援
- 社会的孤立の予防
- 生活への不安の軽減
- 共同生活による心身の安定
グループホームは、単に日常生活を支える場にとどまらず、障害のある方の暮らしを支え、人生をより豊かにする大切な役割を担っています。
また近年では、地域包括ケアシステムの整備が課題となっており、障害者グループホームは介護領域でシステムに寄与することとなります。
地域包括ケアシステムとは、住まい・医療・介護・予防・生活支援+権利擁護を 30 分圏域にフルセットで揃える地域の“オペレーティングシステム”です。


障害者グループホームの種類と特徴
障害者グループホームの種類は、サービスの提供方法によって、大きく4種類に分けることができます。
種類 | 特徴 |
---|---|
介護サービス包括型 | 夜間や休日において、入浴・排泄・食事などの介護が必要な方を対象としたグループホームです。日常生活の介助を包括的に提供します。 |
外部サービス利用型 | 夜間や休日に、利用者の相談や日常生活に関するサポート・援助を行うグループホームです。介護サービスは、委託契約を結んだ外部の介護事業者によって提供されます。 |
日中活動サービス支援型 | 日中にも介護が必要な方を対象としたグループホームです。夜間や休日だけでなく、日中の支援にも対応しています。 |
サテライト型 | グループホームの近隣にある住居で、一人暮らしに近い形で生活するスタイルです。必要に応じて食事や交流のためにグループホームを利用したり、生活支援員からサポートを受けることができます。 |
介護サービス包括型
夜間や休日に入浴・排泄・食事などの介助が必要な方を対象としたグループホームです。
スタッフや生活支援員が日常生活のサポートを行うだけでなく、就労先との連絡調整や休日の余暇活動の支援なども行っています。
4つのタイプの中でも、事業所数・利用者数ともに最も多い主流のグループホームです。
外部サービス利用型
夜間や休日に、利用者の相談対応や日常生活の支援を行うグループホームです。
介護サービス包括型との大きな違いは、入浴・排泄などの身体介護を、グループホームの職員ではなく、委託契約を結んだ外部の介護事業者(ホームヘルパー)が担当する点です。
日中活動サービス支援型
夜間や休日に加えて、日中も継続的な介護が必要な方を対象としたグループホームです。
日常生活に困難がある方に対し、1日を通じて必要な介護サービスを提供し、安心した暮らしを支援します。
サテライト型
サテライト型は、2014年に施行された改正障害者総合支援法により創設された新しい制度です。
グループホームの近隣にある住居で、一人暮らしに近い形で生活を送りながら、必要に応じてグループホームでの食事や交流、生活支援員からの援助を受けることができます。
原則として利用期間は2年間とされており、将来的に一人暮らしを目指す方に適したタイプです。
ニーズ拡大の背景
厚生労働省によると、全国の障害者人口(身体・知的・精神の合計)は約1160.2万人(2022年推計)。

東京都だけでも、知的障害者のうちグループホーム利用希望者は数千人規模に上るとされ、待機者も依然として多い状況です。
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東京都の障害者グループホーム整備推進と補助金
東京都は、障害者グループホームの供給促進に向けて、明確な数値目標を掲げています。
【東京都の目標(第7期東京都障害福祉計画より)】
- 2023年度末:グループホーム定員 14,866人
- 2026年度末:定員 18,512人を目標(約23%増)
この目標に向け、東京都は次のような補助制度を整備しています。
【補助金制度の概要】
項目 | 内容 |
---|---|
対象 | 障害者グループホームを整備する法人 |
使途 | 新築、改修、設備整備、借上げ等 |
補助額例 | 新築の場合、1施設あたり最大約1億円(条件あり) |
借上げ支援 | 賃料の一部補助も実施(上限あり) |
申請時期 | 年度ごとに公募あり(要事前相談) |
運営法人に求められる主な要件
障害者グループホームの運営主体(申請者)は、原則として法人格を持つ事業者に限られます。
【運営法人の主な要件】
- 法人格を有すること(例:社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人など)
- 指定障害福祉サービス事業者としての指定申請が可能な体制があること
- 代表者・役員のうち欠格事由に該当する者がいないこと(暴力団排除・破産者など)
- 運営に必要な人員体制を整えていること(サービス管理責任者、世話人、生活支援員など)
- 事業所の財務基盤が安定していること(場合によっては直近決算書の提出を求められる)
※NPO法人や一般社団法人でも、一定の実績や人員体制があれば十分に運営可能です。
ただし初めて事業を行う法人は、自治体との綿密な協議が必要です。
グループホーム物件に求められる主な要件
グループホーム物件に求められる要件は、大きく3つあります。
物理的要件、法令・手続き要件、立地要件とあり、それぞれの詳細は下記の通りです。
種別 | 要件 |
---|---|
物理的要件 | ・1居室あたり7.43㎡以上(原則) ・居室は個室(定員6~10人が目安) ・食堂、浴室、トイレ、洗面所などの共用部必須 ・バリアフリー配慮(手すり、段差解消、幅員確保など) |
法令・手続き要件 | ・用途変更(建築基準法上の「寄宿舎」用途への変更が必要な場合あり) ・消防法上の届出・検査(防火対象物の区分変更など) |
立地要件(東京都の場合の例) | ・原則として住宅地、またはこれに準じる地域 ・病院や支援機関へのアクセス圏内が望ましい |
物件オーナーとしての関わり方と実際の収支イメージ
障害者グループホームは、「福祉 × 不動産投資」という観点から注目される社会貢献型の不動産活用です。
空き家やアパートなど既存物件を活かしながら、安定収益と地域福祉への貢献を両立できます。
【オーナーの主な関わり方】
- 一括賃貸型(安定収益モデル)
- もっとも一般的な関わり方が、物件を福祉事業を行う運営法人に一括で貸し出す方法です。
- オーナーは建物の維持管理に専念し、賃料収入を得る形となります。
- 賃料は運営法人との交渉により決定され、3〜10年の長期契約となることが多く、空室リスクが低いのが特長です。
- 特に築古物件や空き家を有効活用したいオーナーに適しており、地域活性化の一環としても注目されています。
- 自己運営型(高収益・実践型)
- オーナー自身が法人を立ち上げ、障害者グループホームの運営に直接関与する形です。
- 通常よりも高い収益性(利回り)が期待できますが、福祉制度の理解や行政対応、人材確保などの運営リスクも伴います。
- 福祉業界での経験がある方や、長期的に社会的意義のある事業を展開したい方に適しています。
【賃料・利回りイメージ】
- 賃料相場:1室あたり月額10万~15万円程度(東京都内を想定)
- 1棟6~8室規模の場合、年間収入は720万~1,440万円程度が見込まれます。
- 表面利回りは、8〜12%前後と、不動産投資の中でも高水準の部類に入ります(立地・建物条件により変動あり)。
地域・社会貢献と収益性を両立へ
障害者グループホームへの不動産活用は、単なる空室対策を超えた、障害のある方の自立支援や地域定着をサポートするという、社会的意義の高い資産運用です。
- 安定したニーズ
- 公的補助制度の活用
- 長期賃貸に適したスキーム
一方で、事業として成り立たせるには、制度理解と適切なパートナー選びが不可欠です。
運営法人の要件や行政手続きの複雑さを理解し、信頼できる運営者と組むことで、社会貢献と安定収益の両立が現実的なものになります。
BFコンサルティングでは、障害者グループホーム向けの不動産活用コンサルティングを行っています。
空き家や築古物件を福祉施設として活用したい方も、お気軽にご相談ください。
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