2021/07/13
実績・事例
【岡部ブログ vol.14】固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書は、取得資料の基本の「き」の部分になります。
家屋の相続税評価額は固定資産税評価額の1.0倍とされていますし、
倍率方式の地域においては、土地の固定資産税評価額にその地域毎に定められた倍率をかけて算定されます。
このように、固定資産税評価額は、相続税評価においても重要な諸元の一つです。
固定資産税評価額は、毎年、所有者宛に郵送される固定資産税納税通知書・課税明細書、
又は、市区町村の固定資産税課で取得できる固定資産税評価証明書で確認することができます。
目次
固定資産の評価替え
固定資産税は、固定資産の有する価値に着目して毎年度課税するものであることから、
毎年度評価をして、その結果を基に課税を行うことが理想的と言えます。
しかし、全国で約1億8千万筆の土地や約6千万棟の家屋について毎年度評価を見直すことは、
実務的には困難であることや、課税事務の簡素化を図り徴税コストを最小に抑える必要もあること等から、
原則として3年間価格を据え置く制度、いいかえれば、3年ごとに価格を見直す制度がとられています。
この価格を見直す年度を「基準年度」といい、この基準年度に価格を見直すことを「評価替え」といいます。
したがって、評価替えは、3年間における資産価格の変動に対応し、
評価額を適正な均衡のとれた価格に見直す作業であるといえます。
ただし、基準年度後の第2年度又は第3年度において、
②土地の地目の変換や家屋の改築などによって、
基準年度の価格によることが適当でない土地及び家屋については、新たに評価を行い、価格を決定します。
なお、直近では令和3年度、その前は平成30年度が基準年度でしたので、次の基準年度は令和6年度となります。
固定資産税評価額を相続税評価につかう際の注意点
教科書にも書いていますが、実務上ほとんどの人が見落としています。
それは、「基準年度」の価格をつかうということです。
令和2年中の固定資産税評価額は、基準年度である平成30年度の評価額をつかうということです。
なので、令和2年の相続税評価を行うときに取得すべき固定資産税評価証明書は、平成30年度のものになります。
相続登記に使用する固定資産税評価額
相続によって、土地や建物の名義を変更する場合に、
登録免許税の算定根拠として固定資産税を証する書面を添付する必要があります。
この時に使用する評価額は登記申請年度のものになります。
例えば、相続開始が令和1年6月で、相続登記の申請が令和2年5月だとすると、
相続登記に必要な固定資産税評価証明書は令和2年度のものになります。
先ほどの、相続税評価につかう評価証明書は平成30年度のものになります。
以上のように、固定資産税評価証明書は、利用目的によって取り分ける必要があるので、注意が必要です。
まとめ
・相続登記につかう固定資産税評価額は登記申請時の属する年度のもの
記事の担当者
代表取締役
岡部 弘幸 (Hiroyuki Okabe)
2016年 株式会社BFコンサルティング設立
得意分野:相続に関する不動産問題、土地評価等
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